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最適ポートフォリオ

時点TTの株価をS(T)S(T)とすると、リターンは

R=S(T)−S(0)S(0)R=\frac{S(T)-S(0)}{S(0)}

期待リターンは

μ=E[R]\mu = E[R]

ボラティリティは

σ=Var(R)\sigma = \sqrt{Var(R)}

と定義される。

ボラティリティの大きさをリスクという。

2資産モデル

(μ1,σ1)=(0.1,0.1)(\mu_1, \sigma_1) = (0.1, 0.1)と(μ2,σ2)=(0.4,0.3)(\mu_2, \sigma_2) = (0.4, 0.3)の2銘柄でのポートフォリオを考える

ポートフォリオの期待リターンは

μP=π⊤μ\mu_P = \boldsymbol{\pi} ^\top \boldsymbol{\mu}

(ここでπ=(π1,π2)⊤,μ=(μ1,μ2)⊤\boldsymbol{\pi} = (\pi_1, \pi_2)^\top, \hspace{1em} \boldsymbol{\mu} = (\mu_1, \mu_2)^\top)

ポートフォリオのボラティリティは

σP=π⊤Σπ\sigma_P = \sqrt{ \boldsymbol{\pi}^\top \Sigma \boldsymbol{\pi} }

ここでΣ\Sigmaは共分散行列

Σ=(σ12σ1σ2ρ1,2σ1σ2ρ2,1σ22)\Sigma = \begin{pmatrix} \sigma^2_1 & \sigma_1 \sigma_2 \rho_{1,2}\\ \sigma_1 \sigma_2 \rho_{2, 1} & \sigma_2^2 \end{pmatrix}
array([[0.01 , 0.003], [0.003, 0.09 ]])

これらを使って、ポートフォリオ・ウェイトや銘柄間の相関係数を変えながらプロットすると以下のようになる

Source
<Figure size 432x288 with 1 Axes>

ここからの含意:

  1. 高い期待リターンを狙えばボラティリティも高くなる

  2. 期待リターンを下げすぎてもボラティリティが高くなる(ρ<1\rho < 1のとき)

危険資産のみのポートフォリオの最適化

3資産以上になると、投資可能集合は線ではなく面になる。この面を実行可能領域とよぶ。

実現可能領域を包む境界線を平均分散フロンティア(mean variance frontier)といい、その上半分を「平均分散フロンティアの効率パート」、略して効率的フロンティアと呼ぶ。(下半分は低い期待リターンに対してボラティリティが高いため合理的ではない)

Source
<Figure size 432x288 with 1 Axes>

安全資産を含むポートフォリオの最適化

Source
<Figure size 432x288 with 1 Axes>

危険資産だけからなる平均分散フロンティアと危険資産に安全資産を加えたポートフォリオの効率的フロンティアの接点のポートフォリオを接点ポートフォリオ(tangency portfolio)という。

接点ポートフォリオのポートフォリオ・ウェイトは

π^=Σ−1(μ−μ01)1⊤Σ−1(μ−μ01)\hat{\boldsymbol{\pi}} = \frac {\Sigma^{-1} (\boldsymbol{\mu} - \mu_0 \boldsymbol{1})} {\boldsymbol{1}^\top \Sigma^{-1} (\boldsymbol{\mu} - \mu_0 \boldsymbol{1})}

である

Source

接点ポートフォリオの期待リターンはμ^P=π^⊤μ\hat{\mu}_P = \hat{\boldsymbol{\pi}}^\top \boldsymbol{\mu}、接点ポートフォリオのボラティリティはσ^P=π^⊤Σπ^\hat{\sigma}_P = \sqrt{ \hat{\boldsymbol{\pi}}^\top \Sigma \hat{\boldsymbol{\pi}} }、接点ポートフォリオのシャープ・レシオはκ^P=μ^P−μ0σ^P\hat{\kappa}_P = \frac{\hat{\mu}_P - \mu_0}{\hat{\sigma}_P}である。

効率的フロンティアは切片がμ0\mu_0、傾きがκ^P\hat{\kappa}_Pなので平均分散フロンティアは

μP=μ0+κ^PσP\mu_P = \mu_0 + \hat{\kappa}_P \sigma_P

となる。

合理的な投資家は効率的フロンティア上でポートフォリオを組みたいと考えるはずなので、シャープ・レシオは全員同じ値になると考えられる。危険資産を組み替えれば平均分散フロンティアの形状は変わり接点ポートフォリオの位置も変わるため、シャープ・レシオは変わる。シャープ・レシオを改善するためには組み込む危険資産の構成を工夫するしかない

目標とする期待リターンとそれに対応するボラティリティは上の平均分散フロンティア上にあるので、上の式は次のように書くこともできる

μP=tμ^P+(1−t)μ0\mu_P = t \hat{\mu}_P + (1 - t) \mu_0

t=1t=1ならポートフォリオの期待リターンμP\mu_Pは接点ポートフォリオのそれと等しくなり、t=0t=0なら安全資産の利回りそのものになる。

トービンの分離定理

最適な安全資産ポートフォリオ・ウェイトはπ0∗∗=1−t\pi_0^{**} = 1 - t、 最適な危険資産のポートフォリオ・ウェイトはπ∗∗=tπ^\boldsymbol{\pi}^{**} = t \hat{\boldsymbol{\pi}} となる。

ポートフォリオの期待リターンμP\mu_Pは投資家の選好によって変わり、それに応じてttも変わる。

危険資産のポートフォリオ・ウェイトを決める作業は選好とは関係なく決まる。 投資家の選好に応じて変わるのは、ポートフォリオ全体の目標期待リターンを定める作業。 このことはトービンの分離定理(separation theorem)と言われる(Tobin 1958)。

参考

吉川 大介(2022)『データ駆動型ファイナンス』、共立出版。