概要¶
TabPFN(Tabular Prior-Data Fitted Network) は、ドイツのチューリッヒ工科大学(ETH Zurich)らによって開発された、事前学習済みのトランスフォーマーモデルによる表形式データ分類器 。
「1秒でベイズ最適分類を近似」というコンセプトで、少数データセットにおける汎用的な高精度分類を実現する。
通常の機械学習はデータをもとに学習するが、TabPFNは事前学習済みモデルを使うだけで即座に予測できる点が大きな特徴。
v2も出ている
176のデータセットでGBDT系とNN系アルゴリズムを比較した McElfresh et al. (2023). When Do Neural Nets Outperform Boosted Trees on Tabular Data?. ではTabPFNが高い性能を持ちつつCatBoostよりも高速で、n=3000の少ないデータセットでもよいパフォーマンスを発揮していることを報告している。
コード例¶
Github: PriorLabs/TabPFN: ⚡ TabPFN: Foundation Model for Tabular Data ⚡
PyPIからインストールできる
pip install tabpfnfrom sklearn.datasets import fetch_openml
from sklearn.metrics import mean_squared_error, r2_score
from sklearn.model_selection import train_test_split
from tabpfn import TabPFNRegressor
# Load Boston Housing data
df = fetch_openml(data_id=531, as_frame=True) # Boston Housing dataset
X = df.data
y = df.target.astype(float) # Ensure target is float for regression
# Train-test split
X_train, X_test, y_train, y_test = train_test_split(X, y, test_size=0.5, random_state=42)
# Initialize the regressor
regressor = TabPFNRegressor()
regressor.fit(X_train, y_train)
# Predict on the test set
predictions = regressor.predict(X_test)
# Evaluate the model
mse = mean_squared_error(y_test, predictions)
r2 = r2_score(y_test, predictions)
print("Mean Squared Error (MSE):", mse)
print("R² Score:", r2)Mean Squared Error (MSE): 10.672898149858451
R² Score: 0.8684473886974637
Prior-Data Fitted Networks (PFNs)¶
[2112.10510] Transformers Can Do Bayesian Inference (ICLR2022)
大規模な事前分布を学習させ、事後予測分布(posterior predictive distribution; PPD)を出力するためのTransformerベースのアーキテクチャであるPFNを提案
ガウス過程やBayesian neural networksをMCMCより格段に少ない計算量で近似できる。
TabPFN¶
[2207.01848] TabPFN: A Transformer That Solves Small Tabular Classification Problems in a Second
1. Prior-Data Fitted Network (PFN)¶
PFNは、多様なシミュレーションデータから事前に学習し、「未知の表データ分布に対するベイズ最適分類器」を近似するニューラルネットワーク。
TabPFNはPFNを表形式データに特化させたアーキテクチャ。
学習の流れ:
人工的に生成した数百万の「仮想データセット」を作成
各データセットに対して「ベイズ最適分類結果(理論上の最良分類)」を計算
それを模倣するようにトランスフォーマーを訓練
結果、未知のデータセットでもベイズ最適に近い予測を瞬時に生成できるようになる
2. モデル構造¶
TabPFNは、トランスフォーマーアーキテクチャを基盤にしています。
各サンプル(行)を「トークン」として処理し、自己注意機構(Self-Attention)によってデータ間関係をモデリングします。
入力: 小規模の表データ(通常は1000件未満)
出力: 各クラスの事後確率分布(Bayesian posterior)
特徴:
数値・カテゴリ混在データを直接扱える
欠損値処理も自動
標準化などの前処理も最小限
3. 特徴と利点¶
| 特徴 | 説明 |
|---|---|
| 学習不要 | 事前学習済みモデルを使うため、訓練不要で推論のみ |
| ベイズ的解釈 | 出力は事後確率を近似し、ベイズ分類器に相当 |
| 超高速推論 | 小規模データなら数ミリ秒〜数秒で完了 |
| ハイパーパラメータ不要 | モデル選択・学習率・ツリー深度などの調整不要 |
| 精度 | 多くのUCIデータセットでLightGBMやCatBoostに匹敵または上回る |
4. 制約・限界¶
| 制約 | 内容 |
|---|---|
| データサイズ制限 | 通常は1000件以下・20特徴量以下が推奨 |
| 回帰タスク非対応 | 現行モデルは分類専用(回帰版は研究中) |
| 大規模データ非対応 | メモリ使用量が急増し、GPUが必要 |
| 外挿に弱い | 訓練分布と異なる構造のデータには不安定 |
TabPFN v2¶
関連論文¶
[2502.17361] A Closer Look at TabPFN v2: Understanding Its Strengths and Extending Its Capabilities¶
目的:
TabPFN v2 がなぜ多様なデータに対して高精度を出せるかを理解する
TabPFN v2 が苦手とする高次元データ,多クラス,および大規模データに対して,その性能を拡張・改善する手法を提案する
発見:
属性トークン学習を内在化している(Handling heterogeneity)
TabPFN v2 では,属性ごとに決定的なトークン(Embedding)をあらかじめ定義するのではなく,推論時にランダムに perturbation を加えた属性トークンを用いる設計になっている(ランダム性を導入)
それにもかかわらず,Transformer の in-context メカニズムを通じて,モデルは属性間の関係を推定し,意味的な特徴を捉える能力を獲得する。すなわち,「トークン学習」を明示的には行わず,推論中に属性関係を学び取っている。
実験的には,複数回異なるランダム初期化でトークンを与えても,モデルの属性間の attention パターンなどは安定する,という結果が示されている。
→ これにより,異なる次元数や属性意味を持つ新しいデータセットにも,チューニングなしで柔軟に適用できるという性質を実現している。
埋め込み器(feature encoder)への転用可能性
通常,TabPFN v2 は in-context learning によって直接ラベルを出力するが,本研究ではこれを利用してインスタンス表現(embedding)を取り出し,その上で線形分類器を載せることで予測する実験を行っている。
単純な方法(すべての訓練例に対して dummy ラベルで embedding を抽出しようとする方法)は,訓練データとテストデータで表現空間がずれてしまい性能が出ないことが発覚する。
そこで提案されたのが leave-one-fold-out 戦略である。訓練データを複数の折り畳みに分け,ある折りを “クエリ”(dummy ラベル)として embedding を得て,他の折りを “サポート” として学習を保持する。この方式により,訓練とテストで比較可能な embedding を得られるようにする。
実験では,こうして抽出された embedding に線形モデルを載せても,元の TabPFN v2 の性能に匹敵する結果が出るケースが多く,場合によっては複数層の embedding を連結して性能を上げることも可能であった。
→ この結果は,TabPFN v2 が「強力な特徴空間変換器(変換後にクラスを線形分離しやすい空間を作るもの)」として機能していることを示唆する。
テスト時の分割・統合法(divide‐and‐conquer)による性能拡張
TabPFN v2 には,次のような制限が知られている(元論文でも指摘されていた):
次元数(特徴数)が多いデータ
クラス数が 10 を超える多クラス問題
サンプル数(規模)が大きいデータ
これらに対して,本論文では以下のような後処理的(post-hoc)アプローチを提案して改善を図っている:
| 問題領域 | 提案手法 | 概要 |
|---|---|---|
| 高次元 | 特徴のランダムサブセットを複数抽出 → 各サブセットで TabPFN v2 を適用 → 結果をアンサンブル(平均/多数決) | 特徴数の二次オーダーの計算負荷を抑えつつ性能を維持または改善 |
| 多クラス(クラス数 > 10) | 各ラベルを 10 進法表現に分解し,各桁を予測する(digitwise モデル) → 最終的に桁組み合わせでラベルを復元 | 複数の TabPFN v2 モデルを使って多クラス対応を可能にする(およびランダムなマッピングとアンサンブルで安定化) |
| 大規模データ | ① 訓練セットから 10,000 サンプルをサポートセットとして抽出 → embedding 抽出 → 線形分類器訓練 → アンサンブル ② 決定木でデータを部分分割 → 各部分に TabPFN を適用 → 結果の統合 | 再訓練をせずに大規模データに対応可能とする工夫 |
[2506.08982] On Finetuning Tabular Foundation Models¶
Finetuningが不要なことが売りのTabPFNv2だが、Finetuningするとさらに性能が向上することを明らかにした
https://