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デジタル画像

デジタル画像とは

ラスタ画像とベクタ画像

画素(ピクセル)の集合として画像を表現する方式をラスタ画像、点・線・曲線などの図形情報(ベクタ)で表現する方式をベクタ画像という。写真のような自然画像は基本的にラスタ画像。

色の表現

色空間

  • RGB: 光の三原色(赤・緑・青)の加法混色。ディスプレイなど発光デバイスで使用

  • CMYK: シアン・マゼンタ・イエロー・黒の減法混色。印刷で使用

  • HSV/HSL: 色相・彩度・明度(輝度)で色を表現。直感的な色指定に向く

  • YCbCr: 輝度(Y)と色差(Cb, Cr)に分離。人間の目は輝度の変化に敏感で色差の変化には鈍感なため、JPEGなどの圧縮で色差を間引く(クロマサブサンプリング)際に使われる

ビット深度・階調

1チャンネルあたりの色を表現するビット数。8bit(256階調)が一般的だが、10bit/12bit/16bitなどの高精度・HDR画像もある。

アルファチャンネル

不透明度(透過度)を表すチャンネル。RGBに加えてRGBAとして保持され、背景の透過表示に使われる。

サンプリングと量子化

標本化(サンプリング)

アナログな画像(連続的な濃淡)を一定間隔で区切って離散的な画素値の並びに変換すること。標本化の間隔(解像度)が粗いとエイリアシング(モアレなど)が発生する。

量子化

標本化した値を有限のビット数で表現すること。量子化ビット数が少ないと階調が失われ、バンディング(縞模様)が発生する。

圧縮の基礎

可逆圧縮と非可逆圧縮

  • 可逆圧縮(ロスレス): 元のデータを完全に復元できる圧縮。PNGなど

  • 非可逆圧縮(ロッシー): 人間の知覚上目立たない情報を捨てて圧縮率を高める。JPEGなど

エントロピー符号化

出現頻度の高いパターンに短い符号を割り当てて圧縮する手法。ハフマン符号化やLZ77、算術符号化など。可逆圧縮の中核技術。

離散コサイン変換(DCT)とクロマサブサンプリング

JPEGなどの非可逆圧縮では、画像をブロックに分割してDCTで周波数成分に変換し、高周波成分(人間が知覚しにくい細部)を粗く量子化することで圧縮する。また、YCbCr変換後に色差成分(Cb, Cr)を間引くクロマサブサンプリング(4:2:0など)も併用される。

フォーマット

フォーマットごとに「可逆のみ/非可逆のみ/両対応」、採用している圧縮アルゴリズム、登場時期や普及状況が異なる。

フォーマット圧縮方式主なアルゴリズム提案年2026年時点の対応状況
PNG可逆のみフィルタリング + DEFLATE(LZ77 + ハフマン符号化)1996年全ブラウザ・OSで標準対応。事実上のロスレス標準
JPEG非可逆(可逆モードは規格上存在するが未普及)DCT + 量子化 + ハフマン符号化1992年全環境で標準対応。写真用途の事実上の標準
GIF可逆のみLZW1987年全環境で対応。256色制限のためアニメーション用途中心
BMP基本無圧縮(RLEをオプションで持つ場合あり)1990年頃Windows中心。Webではほぼ使われない
TIFF可逆/非可逆(選択可)LZW, ZIP/Deflate, JPEG など1986年印刷・スキャン・アーカイブ用途で現役。主要ブラウザは非対応
WebP可逆/非可逆可逆: 空間予測 + ハフマン符号化 / 非可逆: VP8由来のDCT・WHT変換2010年主要ブラウザ(Chrome/Firefox/Safari/Edge)が全対応済み
JPEG XL可逆/非可逆非可逆: VarDCT / 可逆: モジュラー変換 + ANS符号化2021年(ISO標準化)Safariのみ標準対応。Chromeは2022年に実験実装を撤去し既定非対応、Firefoxはフラグ経由のみ
AVIF可逆/非可逆(主に非可逆)AV1のイントラ符号化(変換 + 適応算術符号化)2019年主要ブラウザがほぼ全対応。採用が拡大中
HEIC/HEIF可逆/非可逆(主に非可逆)HEVCのイントラ符号化(変換 + CABAC)2015年Apple製品では標準。HEVCのライセンス費用もあり、Web/Android/Windowsでの直接対応は限定的(配信時にJPEG等へ変換されることが多い)

gif

1987年にCompuServeが公開(1989年のGIF89a拡張でアニメーション対応)。可逆圧縮のみLZW(Lempel-Ziv-Welch) 符号化を使用し、出現済みのバイト列パターンを辞書化して短い符号に置き換える。

パレット方式で1画像あたり最大256色までしか扱えないため、色数の多い自然画像では色が減って画質が劣化する(ディザリングで見た目を補う場合がある)。

2026年時点でも全環境で対応しているが、写真用途ではPNG/JPEGに、アニメーション用途でも一部WebPやAPNG・動画に置き換わりつつある。

bmp

1990年頃、Windows向けのビットマップ形式として登場。基本は無圧縮(ヘッダ + カラーパレット(必要な場合)+ 生のピクセル値をそのまま並べる単純な構造)。オプションでRLE(ランレングス符号化、同じ値の連続を「値と繰り返し数」に置き換える単純な可逆圧縮)を使う場合もあるが一般的ではない。

2026年時点でもWindows環境では標準的に扱えるが、ファイルサイズが大きくなるためWeb配信ではほぼ使われない。

tiff

1986年にAldus社(後にAdobeが管理)が発表。可逆・非可逆どちらも選択できるコンテナ形式で、内部でLZW・ZIP/Deflate(いずれも可逆)やJPEG圧縮(非可逆)を選んで格納できる。複数ページやレイヤー、豊富なメタデータも保持可能。

2026年時点でも印刷・スキャン・医療画像・アーカイブ用途で現役だが、主要ブラウザは表示に対応していないためWeb用途では使われない。

png

1996年公開。GIFが使うLZWのライセンス問題を避けるために開発された、可逆圧縮のみのフォーマット。

アルゴリズムの流れ:

  1. フィルタリング: 各行の画素値を、上・左・左上などの隣接画素から予測した値との差分に変換する(None/Sub/Up/Average/Paethの5種類から行ごとに選択)。自然画像は隣接画素が似た値を持つため、差分に変換すると0付近の値が多くなる

  2. DEFLATE圧縮: フィルタ後のデータに対しLZ77(繰り返しパターンを過去の位置への参照に置き換える)とハフマン符号化(出現頻度の高いバイト列に短い符号を割り当てる)を適用

2026年時点で全ブラウザ・OSが標準対応しており、ロスレス画像の事実上の標準。

PNGの仕組み - YouTube

jpg

1992年にITU-T/ISOが標準化(JPEG委員会の発足は1986年)。非可逆圧縮が基本(規格上は可逆モードも存在するがほぼ使われていない)。

アルゴリズムの流れ:

  1. RGB→YCbCr変換(輝度と色差に分離)

  2. クロマサブサンプリング: 色差成分(Cb, Cr)を輝度(Y)より粗く間引く(4:2:0など)。人間の目が色差の変化に鈍感なことを利用

  3. 画像を8×8ピクセルのブロックに分割

  4. 各ブロックに**DCT(離散コサイン変換)**を適用し、空間周波数成分に変換

  5. 量子化: 高周波成分(人間が知覚しにくい細部)を粗く丸める。ここで情報が不可逆に失われ、量子化テーブルの粗さで画質・圧縮率が決まる

  6. ジグザグスキャンで係数を並べ替え、ランレングス符号化 + ハフマン符号化でエントロピー符号化

2026年時点でも全環境が標準対応しており、写真用途の事実上の標準であり続けている。

Webp

2010年にGoogleが発表。可逆・非可逆の両モードを持つ。VP8/VP8Lという2つの動画コーデックの静止画(イントラフレーム)符号化を流用している。

  • 非可逆(VP8ベース): JPEGと同様にYCbCr変換 → ブロック分割 → DCT/WHT(ウォルシュ・アダマール変換)→ 量子化 → エントロピー符号化。ループフィルタでブロックノイズを軽減する点がJPEGとの違い

  • 可逆(VP8L): 空間予測 + 過去に出現した色を再利用する「カラーキャッシュ」+ ハフマン符号化を組み合わせる

  • アニメーション(複数フレーム)やアルファチャンネルにも対応

2026年時点でChrome/Firefox/Safari/Edgeなど主要ブラウザが全対応済みで、Web配信用フォーマットとして広く普及している。

https://developers.google.com/speed/webp?hl=ja

avif

2019年にAOMedia(Alliance for Open Media)が動画コーデックAV1をベースに策定。主に非可逆(可逆モードもある)。

AV1のイントラ符号化(1枚の画像だけで完結する符号化)を静止画に流用しており、可変サイズのブロック分割 + 高度なイントラ予測 + 変換 + 適応算術符号化という、JPEGより新しい世代の動画コーデック技術を利用するため同程度の主観画質でファイルサイズを大きく削減できる。HDRや広色域、アルファチャンネルにも対応。

2026年時点でChrome/Firefox/Safari(iOS 16以降)など主要ブラウザがほぼ全対応しており、WebP同様にWeb配信での採用が拡大している。

jxl (JPEG XL)

2021年にISO/IEC 18181として標準化された次世代フォーマット。可逆・非可逆の両モードを持つ

  • 非可逆(VarDCTモード): JPEGのDCTを拡張し、ブロックサイズを画像内容に応じて可変にする(平坦な領域は大きく、複雑な領域は小さく)ことで効率を上げる。量子化後はANS(Asymmetric Numeral System、算術符号化に近い高効率なエントロピー符号化)で符号化

  • 可逆(モジュラーモード): 整数演算のみの可逆変換 + 画素値の文脈(周辺画素)に応じた予測 + ANS符号化

  • JPEGの無劣化再圧縮: 既存のJPEGファイルを画質劣化なしでJXLに変換し、約20%小さくできる(DCT係数レベルで再エンコードするため)

対応状況は他フォーマットと異なり複雑。Chromeは一時実験的にサポートしていたが2022年に既定オフへ変更し撤退、Firefoxもフラグ経由のみで既定非対応。一方Safariは2024年(macOS Sonoma/iOS 17)から標準対応しており、2026年時点でも主要ブラウザ間で対応が割れたままの状態が続いている。

heic/heif

HEIF自体は2015年にMPEGがISO/IEC 23008-12として標準化。コンテナ内部で動画コーデックHEVC(H.265)のイントラ符号化を使う場合の呼称がHEIC。主に非可逆(可逆モードもある)で、可変ブロックサイズの変換 + 高度なイントラ予測 + CABAC(コンテキスト適応型2値算術符号化)を用いる。

AppleがiOS 11(2017年)で標準写真形式として採用し普及した。ただしHEVCの特許ライセンス費用の問題もあり、2026年時点でもWeb・Android・Windowsでの直接対応は限定的で、配信時にJPEG等へ変換されることが多い。

メタデータ・カラーマネジメント

EXIF

撮影日時、カメラ機種、GPS位置情報などの付加情報を画像ファイルに埋め込む規格。主にJPEG/TIFFで使用。

ICCプロファイルとガンマ補正

デバイスごとに色の見え方が異なるため、ICCプロファイルで色空間の対応関係を記述し、デバイス間で色を一致させる(カラーマネジメント)。ガンマ補正は人間の輝度知覚が非線形であることに対応するための輝度値の変換。