金谷健一. (2003). これなら分かる応用数学教室: 最小二乗法からウェーブレットまで.
目的:一部の例題の行間を埋めて、論理の飛躍無く説明できるようにする
最小二乗近似¶
任意の関数f(x)をn個の関数{ϕi(x)}の線形結合で近似する
f(x)≈c0ϕ0(x)+c1ϕ1(x)+⋯+cnϕn(x) 例題1.7¶
当てはめる n 次式を y=c0xn+c1xn−1+⋯+cn とし,
yα≈c0xαn+c1xαn−1+⋯+cn,α=1,…,N となる c1,…,cn を最小二乗法
J=21α=1∑N(yα−(c0xαn+c1xαn−1+⋯+cn))2→min によって定める. それには
∂c0∂J=0,∂c1∂J=0,…,∂cn∂J=0 を解いて c0,…,cn を定めればよい。式を ck で偏微分すると次式を得る。
∂ck∂J=α=1∑N(yα−c0xαn−c1xαn−1−⋯−cn)(−xαn−k)=c0α=1∑Nxα2n−k+c1α=1∑Nxα2n−k−1+⋯+cnα=1∑Nxαn−k−α=1∑Nxαn−kyα これを 0 と置いて k=0,1,…,n に対する式を並べると次の正規方程式を得る.
⎝⎛∑α=1Nxα2n∑α=1Nxα2n−1⋮∑α=1Nxαn∑α=1Nxα2n−1∑α=1Nxα2n−2⋮∑α=1Nxαn−1⋯⋯⋱⋯∑α=1Nxαn∑α=1Nxαn−1⋮∑α=1N1⎠⎞⎝⎛c0c1⋮cn⎠⎞=⎝⎛∑α=1Nxαnyα∑α=1Nxαn−1yα⋮∑α=1Nyα⎠⎞ これを解いて c0,…,cn が定まる.
当てはめる n 次式を y=c0xn+c1xn−1+⋯+cn とし,
yα≈c0xαn+c1xαn−1+⋯+cn,α=1,…,N となる c1,…,cn を最小二乗法
J=21α=1∑N(yα−(c0xαn+c1xαn−1+⋯+cn))2→min によって定める. それには
∂c0∂J=0,∂c1∂J=0,…,∂cn∂J=0 を解いて c0,…,cn を定めればよい。
J=21α=1∑N(yα−c0xαn−⋯−cn)2=21α=1∑Nu2 とおくと、微分の線形性(和の各項ごとに微分の操作ができる)と合成微分の連鎖律より、
∂ck∂J=21α=1∑N∂u∂u2∂ck∂u となり、ckと積になっている値は−xαn−kなので、
∂u∂u2∂ck∂u=2u=2(yα−c0xαn−⋯−cn)=−xαn−k よって
∂ck∂J=21α=1∑N2(yα−c0xαn−⋯−cn)(−xαn−k) なので、式を ck で偏微分すると次式を得る。
∂ck∂J=α=1∑N(yα−c0xαn−c1xαn−1−⋯−cn)(−xαn−k)=c0α=1∑Nxα2n−k+c1α=1∑Nxα2n−k−1+⋯+cnα=1∑Nxαn−k−α=1∑Nxαn−kyα これを 0 と置いて k=0,1,…,n に対する式を並べると
⎩⎨⎧c0∑α=1Nxα2n+c1∑α=1Nxα2n−1+⋯+cn∑α=1Nxαnc0∑α=1Nxα2n−1+c1∑α=1Nxα2n−2+⋯+cn∑α=1Nxαn−k⋮c0∑α=1Nxαn+c1∑α=1Nxαn−1+⋯+cn∑α=1N1=∑α=1Nxαnyα=∑α=1Nxαn−1yα=∑α=1Nyα よって次の正規方程式を得る.
⎝⎛∑α=1Nxα2n∑α=1Nxα2n−1⋮∑α=1Nxαn∑α=1Nxα2n−1∑α=1Nxα2n−2⋮∑α=1Nxαn−1⋯⋯⋱⋯∑α=1Nxαn∑α=1Nxαn−1⋮∑α=1N1⎠⎞⎝⎛c0c1⋮cn⎠⎞=⎝⎛∑α=1Nxαnyα∑α=1Nxαn−1yα⋮∑α=1Nyα⎠⎞ これを解いて c0,…,cn が定まる.
J=21∥∥a−k=1∑nckuk∥∥2→min(1.75) 式(1.75)のように置き,
∂c1∂J=0,…,∂cn∂J=0 を解いて c1,…,cn を定めればよい。式(1.75)は次のように変形できる。
J=21(a−k=1∑nckuk,a−l=1∑nclul)=21((a,a)−2(a,k=1∑nckuk)+(k=1∑nckuk,l=1∑nclul))=21⎝⎛∥a∥2−2k=1∑nck(a,uk)+k,l=1∑nckcl(uk,ul)⎠⎞ この式中の ci が含まれる項は −2ci(a,ui) と ∑l=1ncicl(ui,ul) と ∑k=1nckci(uk,ui) であるから, 上式を ci で偏微分すると次式を得る。
∂ci∂J=−(a,ui)+k=1∑nck(uk,ui) これを 0 と置いて i=1,…,n に対する式を並べると次の正規方程式を得る.
⎝⎛∥u1∥2(u2,u1)⋮(un,u1)(u1,u2)∥u2∥2⋮(un,u2)⋯⋯⋱⋯(u1,un)(u2,un)⋮∥un∥2⎠⎞⎝⎛c1c2⋮cn⎠⎞=⎝⎛(a,u1)(a,u2)⋮(a,un)⎠⎞ これを解いて c1,…,cn が定まる(ただしベクトル u1,…,un を変則的に選ぶと解が存在しなかったり無数に存在したりすることがある」第 5 章 5.1 節).
J=21∥∥a−k=1∑nckuk∥∥2→min(1.75) 式(1.75)のように置き,
∂c1∂J=0,…,∂cn∂J=0 を解いて c1,…,cn を定めればよい。
ベクトルの和の内積は、a,x∈Rnとすれば
(a−x,a−x)=i∑n(ai−xi)(ai−xi)=i∑n(ai2−2aixi+xi2)=i∑nai2−2i∑naixi+i∑nxi2=(a,a)−2(a,x)+(x,x)=∥a∥2−2(a,x)+∥x∥2 となるため、式(1.75)は次のように変形できる。
J=21(a−k=1∑nckuk,a−l=1∑nclul)=21((a,a)−2(a,k=1∑nckuk)+(k=1∑nckuk,l=1∑nclul))=21⎝⎛∥a∥2−2k=1∑nck(a,uk)+k,l=1∑nckcl(uk,ul)⎠⎞=21∥a∥2−k=1∑nck(a,uk)+21k=1∑nl=1∑nckcl(uk,ul) この式中の ci が含まれる項は −2ci(a,ui) と ∑l=1ncicl(ui,ul) と ∑k=1nckci(uk,ui) であり、内積の性質(a,b)=(b,a)より
l=1∑ncicl(ui,ul)+k=1∑nckci(uk,ui)=2k=1∑nckci(uk,ui) となる。
∂ci∂J=−(a,ui)+k=1∑nck(uk,ui) を 0 と置いて i=1,…,n に対する式を並べると次の正規方程式を得る.
⎝⎛∥u1∥2(u2,u1)⋮(un,u1)(u1,u2)∥u2∥2⋮(un,u2)⋯⋯⋱⋯(u1,un)(u2,un)⋮∥un∥2⎠⎞⎝⎛c1c2⋮cn⎠⎞=⎝⎛(a,u1)(a,u2)⋮(a,un)⎠⎞ これを解いて c1,…,cn が定まる
内積の性質
(a+b,c)(ka,b)=(a,c)+(b,c)=k(a,b)(a,b,c∈Rn)(k∈R) より、
(a1+a2,b1+b2)=(a1,b1+b2)+(a2,b1+b2)=(a1,b1)+(a1,b2)+(a2,b1)+(a2,b2)=i=1∑2(ai,b1+b2)=i=1∑2j=1∑2(ai,bj) となるため、
(k=1∑nckuk,l=1∑nclul)=k=1∑n(ckuk,l=1∑nclul)=k=1∑nl=1∑n(ckuk,clul)=k=1∑nl=1∑nckcl(uk,ul) となる。
k,l=1∑n:=k=1∑nl=1∑n と演算子を定義すれば、
(k=1∑nckuk,l=1∑nclul)=k,l=1∑nckcl(uk,ul) が成り立つ