対称行列Aの一つの固有値をλ、対応する固有ベクトルをx=⎝⎛x1⋮xn⎠⎞ とすると、定義よりAx=λxである。両辺の複素共役をとったものと合わせると次のように書くことができる。
Ax=λx,Axˉ=λˉxˉ xˉと第1式の両辺を、xと第2式の両辺をそれぞれ内積をとると
⟨xˉ,Ax⟩=λ⟨xˉ,x⟩,⟨x,Axˉ⟩=λˉ⟨x,xˉ⟩ となる。「正方行列Aに対して ⟨Ax,y⟩=⟨x,A⊤y⟩ が成り立つ」という定理と、またAは対称行列のためA=A⊤であることから、
⟨xˉ,Ax⟩=⟨Ax,xˉ⟩=⟨x,A⊤xˉ⟩=⟨x,Axˉ⟩ となり、2つの式の左辺は等しいことがわかる。2つの式の辺々を差し引くと
0=λ⟨xˉ,x⟩−λˉ⟨x,xˉ⟩⟺(λ−λˉ)⟨x,xˉ⟩=0 となる。固有ベクトルは0ではないから⟨x,xˉ⟩=∣x1∣2+⋯+∣xn∣2>0であり、したがってλ=λˉであり、ゆえにλは実数である。
固有ベクトルは連立1次方程式
(λI−A)x=0 の解であり、係数がすべて実数であるから解も実数である。