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MaxDiff(ベストワーストスケーリング)

MaxDiff(Maximum Difference Scaling、ベストワーストスケーリング, best-worst scaling) は、Louviere & Woodworth(1990年代)が提案した項目のスコアリング手法である。回答者に3〜5個程度の項目からなるセット(サブセット)を複数回提示し、そのつど「最も好ましい(best)」項目と「最も好ましくない(worst)」項目を1つずつ選ばせる。

評定型コンジョイント(評定型(トラディショナル)コンジョイント分析)のように「1〜7点で評価してください」という尺度評定は、回答者ごとに尺度の使い方(scale usage)が異なるという問題があるが、MaxDiffは常に相対比較(一番良い/一番悪い)で答えるため、この問題を避けられる。属性の組み合わせ(プロファイル)ではなく、単一の項目(機能、フレーズ、ブランドなど)のリストに直接重みをつけたい場合に使われる。

モデル

MaxDiffは、選択型コンジョイント分析(CBC)と多項ロジットモデルと同じランダム効用モデル・多項ロジットモデルの枠組みで説明できる。項目jjの効用(好ましさ)をβj\beta_jとすると、あるサブセットSSの中から項目jjが「best」として選ばれる確率は通常のMNLと同じ

P(best=j∣S)=exp⁡(βj)∑k∈Sexp⁡(βk)P(\text{best} = j \mid S) = \frac{\exp(\beta_j)}{\sum_{k \in S} \exp(\beta_k)}

「worst」の選択は、効用の符号を反転したMNLとして表現できる。

P(worst=j∣S)=exp⁡(−βj)∑k∈Sexp⁡(−βk)P(\text{worst} = j \mid S) = \frac{\exp(-\beta_j)}{\sum_{k \in S} \exp(-\beta_k)}

実務では、bestとworstを同時に説明する尤度として、「(1) bestを選ぶ」「(2) 残りの項目からworstを選ぶ」という2段階の選択として尤度を構成することが多い(Best-Worstの逐次選択モデル、あるいは全てのJ(J−1)J(J-1)通りのbest-worstペアを多項選択とみなす方法もある)。

P(best=j, worst=k∣S)=P(best=j∣S)⋅P(worst=k∣S∖{j})P(\text{best}=j,\ \text{worst}=k \mid S) = P(\text{best}=j \mid S) \cdot P(\text{worst}=k \mid S \setminus \{j\})

実装例

6つの製品機能(アイデア)についてMaxDiffデータをシミュレーションし、多項ロジットで各機能のスコア(βj\beta_j)を推定する。

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推定されたスコアの順位(長寿命バッテリー > 高速充電 > 防水 > 軽量化 > 耐衝撃 > ワイヤレス充電)は真の順位と一致しており、相対的な大小関係も概ね復元できている。

MaxDiffスコアの解釈

推定されたβ^j\hat\beta_jは、そのままでは絶対的な尺度を持たない(識別のため基準項目を0とする相対値)。実務では以下のように解釈しやすい形に変換することが多い。

  • シェア・オブ・プリファレンス(share of preference)変換:β^j\hat\beta_jをソフトマックス変換し、「全項目の中でその項目が一番選ばれる確率」として%表示する

sharej=exp⁡(β^j)∑k=1Jexp⁡(β^k)×100%\text{share}_j = \frac{\exp(\hat\beta_j)}{\sum_{k=1}^{J} \exp(\hat\beta_k)} \times 100\%
  • 0〜100スケールへのリスケール:最小項目を0、最大項目を100とする単純な線形変換で見た目を分かりやすくする(統計的な意味は薄い)

コンジョイント分析との違い

MaxDiffは属性×水準の組み合わせ(プロファイル)ではなく、フラットな項目リストを対象とする点で、コンジョイント分析よりも設計がシンプルである。「製品を構成する属性の組み合わせ」を評価したいならコンジョイント分析、「機能一覧・キャッチコピー案・優先順位をつけたい要求仕様など、並列した項目群に優先度をつけたい」ならMaxDiffが向いている。