例えばL=R2であれば、x1=(1,0)T,x2=(0,1)Tという線形独立なベクトルを用いて
R2=Span{x1,x2} と書くことができる。dimR2=2であり、x1,x2はR2の基底になる。
まず、線形独立であるかを判断する。実数スカラーc1,c2を用いて
c1a1+c2a2=0 とおいたときの連立方程式
{c1+c2c1=0=0 を解くとc1=c2=0であるため、a1,a2は線形独立である。
次に、a1,a2がR2を形成するか調べる。
任意のベクトルb=(b1b2)に対して、等式
c1a1+c2+a2=b を満たすc1,c2が存在するかどうか調べる。
この方程式を行列で表記すると
(1110)(c1c2)=(b1b2) であり、未知数c1,c2に解があるかどうかは行列式を用いて判定できる。
∣∣1110∣∣=0−1=−1 であり、行列式が零ではないため解が一意的に存在する。よってa1,a2はR2の基底である。
基底に関する例題¶
成分ベクトル¶
ベクトル空間Vの基底 a1,⋯,an に関して, V の任意のベクトル a は
a=x1a1+x2a2+⋯+xnan=(a1⋯an)⎝⎛x1⋮xn⎠⎞ と一意的に表される。
このとき、
⎝⎛x1⋮xn⎠⎞ を、ベクトルaの基底a1,⋯,anに関する 成分 あるいは 成分ベクトル という。
線形写像の行列表現¶
ベクトル空間のあいだの線形写像を行列で表し、行列の理論で解析することができる。
V,W をベクトル空間, v1,⋯,vn,w1,⋯,wm をそれぞれ V,W の基底とする。ここでn=dimV, m=dimWである。
線形写像f:V→Wがあるとすると、f(v1),⋯,f(vn)はWのベクトルであるため、Wの基底の1次結合として一意的に
f(v1)=a11w1+a21w2+⋯+am1wmf(v2)=a12w1+a22w2+⋯+am2wm⋮f(vn)=a1nw1+a2nw2+⋯+amnwm と表すことができる。まとめて書けば
f(vj)=i=1∑maijwi(j=1,2,⋯,n) である。
この係数aが作る行列の転置行列をAfと書くことにすると、この行列Afはfにより一意的に決まる行列であり、
(f(v1),⋯,f(vn))=(w1,⋯,wm)Af と表すことができる。
ベクトル空間V=R3,W=R2 とする。
線形写像f:V→Wが存在し、
f(v)=(142536)v であるとする。
Vの標準基底
v1=⎝⎛100⎠⎞, v2=⎝⎛010⎠⎞, v3=⎝⎛001⎠⎞ を使ってWへ写したものは
(f(v1),f(v2),f(v3))=(142536) となる。
これらに対し、Wの基底
w1=(11), w2=(1−1) を使って
(f(v1),f(v2),f(v3))=(w1,w2)A と写すような行列Aを求めたい。
方法1:連立方程式を求める
⎩⎨⎧f(v1)=a11w1+a21w2f(v2)=a12w1+a22w2f(v3)=a13w1+a23w2 を解く。
方法2:行列として連立方程式を解く
(f(v1),f(v2),f(v3))=(w1,w2)A すなわち
(142536)=(111−1)A について、
(111−1) の逆行列を求めて左から両辺に掛けてAを求める
逆行列の求め方は、例えば
(w1,w2)=M とおいて、MM−1=I(Iは単位行列)という式を建てて未知数M−1と求めることにして、拡大係数行列[M∣I]を作って行基本変形で求めればよい。
(M∣I)=(111−11001) を変形すると
(1001212121−21) となるので、
M−1=(212121−21) もとの式の両辺に左からかけて
M−1(142536)=M−1MA とすると、
(212121−21)(142536)=(25−2327−2329−23)=A さて、Vの任意のベクトルxを⎝⎛x1⋮xn⎠⎞とすると、こちらも基底の1次結合として表すことができるため
x=x1v1+⋯+xnvn=(v1,⋯,vn)⎝⎛x1⋮xn⎠⎞ である。そしてWのベクトルy=f(x)=⎝⎛y1⋮ym⎠⎞があるとすると
y=y1w1+⋯+ymwm=(w1,⋯,wm)⎝⎛y1⋮ym⎠⎞ である。この式と、式
y=f(x)=j=1∑nxjf(vj)=(f(v1),⋯,f(vn))⎝⎛x1⋮xn⎠⎞=(w1,⋯,wm)Af⎝⎛x1⋮xn⎠⎞ より、x と y の成分ベクトルの間には
⎝⎛y1⋮ym⎠⎞=Af⎝⎛x1⋮xn⎠⎞ という関係が成り立つ。
逆に, 任意の m×n 行列 A=(aij) が与えられたとする. V の任意のべクトル x=∑j=1nxjvj に対して
f(x)=(w1,⋯,wm)A⎝⎛x1⋮xn⎠⎞ とおくことにより、写像
f:V⟶W が定義されるが、この写像は線形写像である。
線形写像f:V→Wに対して上の方法で定まるm×n行列Aを、Vの基底v1,…,vnとWの基底w1,…,wmに関するfの 表現行列 または fの 行列表示 または fに 対応する行列 などという。
例題
次の線形写像 f:R2→R2 を考える。
f(yx)=(x−y2x+y) 基底
v1=(11),v2=(−11) に関する、この線形写像の表現行列を求めよ。
Step 1: 写像による変換後のベクトルを取得
基底ベクトルに線形写像を適用すると、
f(v1)=f(11)=f(2⋅1+11−1)=(30)f(v2)=f(1−1)=f(2⋅1−11+1)=(12) である。
Step 2: 1次結合にして係数を求める
変換後のベクトルf(v1)を基底の1次結合で表現すると
f(v1)=(30)=a11v1+a12v2=a11(11)+a12(1−1) この連立1次方程式を解くとa11=3/2,a12=3/2
同様に、
f(v2)=(12)=a21v1+a22v2=a21(11)+a22(1−1) はa21=3/2,a22=−1/2
よって表現行列は
(232323−21) 例
python - Unknown Directive
import numpy as np
v1 = np.array([1, 1])
v2 = np.array([1, -1])
A = np.array([
[3/2, 3/2],
[3/2, -1/2],
])
print("f(v1) =", A[0, 0] * v1 + A[0, 1] * v2)
print("f(v2) =", A[1, 0] * v1 + A[1, 1] * v2)f(v1) = [3. 0.]
f(v2) = [1. 2.]
import numpy as np
v1 = np.array([1, 1])
v2 = np.array([1, -1])
A = np.array([
[3/2, 3/2],
[3/2, -1/2],
])
print("f(v1) =", A[0, 0] * v1 + A[0, 1] * v2)
print("f(v2) =", A[1, 0] * v1 + A[1, 1] * v2)
f(v1) = [3. 0.]
f(v2) = [1. 2.]
ベクトル空間 V の 2つの基底 v1,⋯,vn,v1′,⋯,vn′ をとる。
各 vj′ は v1,⋯,vn の 1 次結合として表わされるから、
vj′=p1jv1+p2jv2+⋯+pnjvn(j=1,⋯,n) と書かれる。ここで P=(pij) とおくと、上の式は
(v1′,⋯,vn′)=(v1,⋯,vn)P とまとめて表わされる。Pは2つの基底のあいだの変換行列であり、正則行列である。
なお、
B=P−1AP のような関係にある2つの行列A,Bは 相似 (similar)、あるいは同値(equivalent)、または共役(conjugate)であるという。