OLSの仮定#

母回帰関数 (population regression function)

E(YiXi),i=1,2,,n

を推定するために、線形回帰モデル

E(YiXi)=α+βXi

を仮定する。Yiについての関係を表すときは、観測できない誤差を表す確率変数uiを用いて

Yi=α+βXi+ui,i=1,2,,n

と表す。ここでYi,Xiは確率変数である。

OLSの根源的仮定

次の条件を満たすとき、OLS推定量

α^=Y¯β^X¯,β^=SXYSXX

α,βの不偏推定量・一致推定量となる。

  1. 外生性:E(uiXi)=0

  2. 独立な標本:異なる観測 (Xi,Yi)(Xj,Yj) は互いに独立

外生性の含意#

1. 線形回帰モデルの整合性#

{Yi=α+βXi+uiE(uiXi)=0E(YiXi)=α+βXi
Yi=α+βXi+ui

の両辺の条件付き期待値をとると、外生性が満たされるとき、

E(YiXi)=E(α+βXi+uiXi)=α+βE(XiXi)=Xi+E(uiXi)=0=α+βXi

となり、

E(YiXi)=α+βXi

が成立し、母回帰関数を表現できる。

2. 説明変数と誤差項の直交・無相関#

E(uiXi)=0{E(ui)=0E(Xiui)=0Cov(Xi,ui)=0

説明変数Xiが外生変数(外生性を満たす説明変数)ならば、 直交条件

E(Xiui)=EXi[E(XiuiXi)]=EXi[XiE(uiXi)=0]=EXi(Xi0)=0

を満たす(確率変数の積の期待値がゼロになることを一般に 直交する という)。

また、

E(ui)=EXi[E(ui|Xi)=0]=0

そして

Cov(Xi,ui)=E(Xiui)=0E(Xi)E(ui)=0=0E(Xi)0=0

より、Xiuiは無相関になる

互いに独立な標本の含意#

ある標本(Xi,Yi)の関数si=s(Xi,Yi)を定義する。標本が互いに独立ならば、Xi以外の説明変数はsiに関して情報をもっていないため、

E[s(Xi,Yi)Xi]=E[s(Xi,Yi)X1,X2,,Xn全サンプル]

特に関数を ui=s(Xi,Yi)=YiαβXi と置けば、

E(uiXi)=E(uiX1,X2,,Xn)

となる。

2つの仮定を満たすとき、強い外生性がなりたつ

強い外生性

  1. 外生性:E(uiXi)=0

  2. 独立な標本:異なる観測 (Xi,Yi)(Xj,Yj) は互いに独立

を満たすとき、

E(uiX1,X2,,Xn)=0,i=1,2,,n

が成立する。この条件を 強い外生性 (strong exogeneity)とよぶ。

OLS推定量の不偏性#

OLS推定量はOLSウェイトwiにより

β^=β+wiui,wi=(XiX¯)(XiX¯)2

と表現できる。説明変数で条件づけた推定量の期待値は

E(β^X1,X2,,Xn)=β+E(wiuiX1,X2,,Xn)=β+wiE(uiX1,X2,,Xn=0)=β

となる。

繰り返し期待値の法則を適用することで

E(β^)=E[E(β^X1,X2,,Xn)]=E(β)=β

が得られ、OLS推定量β^は母回帰係数βの不偏推定量になる。

OLS推定量の一致性#

OLSウェイトによる表現

β^=β+wiui,wi=(XiX¯)(XiX¯)2

を書き換えると

β^=β+(XiX¯)(uiu¯)(XiX¯)2=β+1n1(XiX¯)(uiu¯)1n1(XiX¯)2=β+sXusX2

nが大きくなる場合、標本モーメントが母集団に一致する、つまり

plimsXu=Cov(Xi,ui),plimsX2=Var(Xi)

のため

plimβ^=β+plimsXuplimsX2=β+Cov(Xi,ui)Var(Xi)=β

参考#

  • 鹿野繁樹. (2015). 新しい計量経済学: データで因果関係に迫る.