練習問題メモ 8(行列式)

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練習問題メモ 8(行列式)#

8.1#

次の1~3の行列式を計算せよ。

  1. |cosθsinθsinθcosθ|

  2. |a111a111a|

  3. |1abc02de003f0004|

  1. |cosθsinθsinθcosθ|

|cosθsinθsinθcosθ|=cos2θ+sin2θ=1
  1. |a111a111a|

a3+23a
  1. |1abc02de003f0004|

上三角行列の行列式は対角成分の積に等しいので

4!=24

8.2#

行列式

|a1111a1111a1111a|

の値が 0 となるような a の値を求めよ。

|ABBA|=|A+B||AB|

という性質があるため(行列式 |A B // B A| = |A-B||A+B| の証明 | ばたぱら)、

|a1111a1111a1111a|=|(a11a)+(1111)||(a11a)(1111)|=|a+122a+1||a100a1|={(a+1)24}(a1)2
{(a+1)24}(a1)2=(a+1)2(a1)24(a1)2=(a2+2a+1)(a22a+1)4(a22a+1)=a2(a22a+1)+2a(a22a+1)+(a22a+1)4(a22a+1)=a42a3+a2+2a34a2+2a+a22a+14a2+8a4=a46a2+8a3=(a1)3(a+3)
from sympy import symbols, factor, expand

# 4次方程式の因数分解はわからないのでsympyを使う
a = symbols("a")
f = a ** 4 - 6 * a**2 + 8 * a - 3
factor(f)
(a1)3(a+3)

これがゼロとなるaを求めたいので

(a1)3(a+3)=0

これを満たすのはa=1a=3のとき

よってa=1,3

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import numpy as np
a = -3
A = np.array([
    [a, 1, 1, 1],
    [1, a, 1, 1],
    [1, 1, a, 1],
    [1, 1, 1, a],
])

np.linalg.det(A)
0.0

8.3#

交代行列について、次の問いに答えよ。

  1. 交代行列の定義を書け。

  2. 奇数次の交代行列の行列式は 0 であることを示せ。

  1. 交代行列の定義を書け。

n次正方行列であり、その転置が自身の1倍になるものを交代行列という

  1. 奇数次の交代行列の行列式は 0 であることを示せ。

交代行列をAとおく

一般に正方行列に対して|A|=|AT|であるため

|A|=|AT|

交代行列はAT=Aとなるため

|A|=|AT|=|A|

1つの行や列をc倍すると行列式はc倍になるため、Aは行の数だけ-1倍したものと捉えると

|A|=|AT|=|A|=(1)n|A|

奇数次の交代行列、すなわちA2n1次の交代行列である場合、(1)2n1=1

よって

|A|=|A|

両辺に+|A|して移項すると

2|A|=0

よって|A|=0

8.4#

次の問いに答えよ。

  1. 正方行列が正則であることの定義を書け。

  2. An 次の正方行列、 Pn 次の正則行列とすると、等式

|P1AP|=|A|

が成り立つことを示せ。

  1. 正方行列が正則であることの定義を書け。

n次正方行列Aに対し

AA1=A1A=E

を満たす正方行列A1が存在するとき、Aは正則である

  1. An 次の正方行列、 Pn 次の正則行列とすると、等式|P1AP|=|A|が成り立つことを示せ。

行列式の積は分解できる(|AB|=|A||B|)ので

|P1AP|=|P1||A||P|

となる

|P1||P|=|P1P|=|E|=1

より、

|P1||P|=1|P1|=1|P|

なので、

|P1||A||P|=1|P||P||A|=|A|
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import numpy as np
A = np.array([
    [1, 2],
    [0, 4]
])

P = np.array([
    [1, 2],
    [3, 4]
])

P_inv = np.linalg.inv(P)
det = np.linalg.det(P_inv) * np.linalg.det(P)
assert det.round(1) == 1
np.linalg.det(P_inv @ A @ P) == np.linalg.det(A)
True

8.5#

A を正則行列とすると、 $|A|0,|A1|=|A|1$

が成り立つことを示せ。

正則であれば逆行列が存在するため

AA1=I

が成り立つ。

両辺の行列式をとると

|AA1|=|I|

であり、|I|=1のため

|AA1|=1

となる。

行列式の性質より、

|AA1|=|A||A1|

のため

|A||A1|=1|A1|=1|A|

ゆえに |A1|=|A|1

8.6#

べき零行列について、次の問いに答えよ。

  1. べき零行列の定義を書け。

  2. べき零行列の行列式は 0 であることを示せ。

べき零行列は、任意の整数kについて

Ak=O

が成立するn次正方行列のこと

べき零行列の行列式は、一般の行列に対して|AB|=|A||B|とできる性質より

|O|=|Ak|=|A|k=0

となるので、|A|=0

8.7#

正方行列 A が $AAT=ATA=E$

を満たすとき、すなわち、 A1=AT となるとき、 A を直交行列という。直交行列 の行列式は 1 または-1であることを示せ。

積の性質(|AB|=|A||B|)と転置行列の行列式はもとの行列式と等しいこと(|AT|=|A|)から

|ATA|=|AT||A|=|A|2=1

なので|A|±1