応用数学 ch1メモ(最小二乗法)#
金谷健一. (2003). これなら分かる応用数学教室: 最小二乗法からウェーブレットまで.
目的:一部の例題の行間を埋めて、論理の飛躍無く説明できるようにする
最小二乗近似#
任意の関数\(f(x)\)を\(n\)個の関数\(\{\phi_i(x)\}\)の線形結合で近似する
例題#
例題1.7#
p.12 例題1.7
【例 1.7】 \(N\) 個のデータ \(\left(x_1, y_1\right), \ldots,\left(x_N, y_N\right)\) に \(n\) 次式を当てはめよ.
(解)
当てはめる \(n\) 次式を \(y=c_0 x^n+c_1 x^{n-1}+\cdots+c_n\) とし,
となる \(c_1, \ldots, c_n\) を最小二乗法
によって定める. それには
を解いて \(c_0, \ldots, c_n\) を定めればよい。式を \(c_k\) で偏微分すると次式を得る。
これを 0 と置いて \(k=0,1, \ldots, n\) に対する式を並べると次の正規方程式を得る.
これを解いて \(c_0, \ldots, c_n\) が定まる.
当てはめる \(n\) 次式を \(y=c_0 x^n+c_1 x^{n-1}+\cdots+c_n\) とし,
となる \(c_1, \ldots, c_n\) を最小二乗法
によって定める. それには
を解いて \(c_0, \ldots, c_n\) を定めればよい。
とおくと、微分の線形性(和の各項ごとに微分の操作ができる)と合成微分の連鎖律より、
となり、\(c_k\)と積になっている値は\(-x_\alpha^{n-k}\)なので、
よって
なので、式を \(c_k\) で偏微分すると次式を得る。
これを 0 と置いて \(k=0,1, \ldots, n\) に対する式を並べると
よって次の正規方程式を得る.
これを解いて \(c_0, \ldots, c_n\) が定まる.
例題1.11#
p.24 例題1.11
【例 1.11】ベクトル \(\boldsymbol{a}\) を \(\sum_{k=1}^n c_k \boldsymbol{u}_k\) の形に近似せよ.
(解)
式(1.75)のように置き,
を解いて \(c_1, \ldots, c_n\) を定めればよい。式(1.75)は次のように変形できる。
この式中の \(c_i\) が含まれる項は \(-2 c_i\left(\boldsymbol{a}, \boldsymbol{u}_i\right)\) と \(\sum_{l=1}^n c_i c_l\left(\boldsymbol{u}_i, \boldsymbol{u}_l\right)\) と \(\sum_{k=1}^n c_k c_i\left(\boldsymbol{u}_k, \boldsymbol{u}_i\right)\) であるから, 上式を \(c_i\) で偏微分すると次式を得る。
これを 0 と置いて \(i=1, \ldots, n\) に対する式を並べると次の正規方程式を得る.
これを解いて \(c_1, \ldots, c_n\) が定まる(ただしベクトル \(\boldsymbol{u}_1, \ldots, \boldsymbol{u}_n\) を変則的に選ぶと解が存在しなかったり無数に存在したりすることがある」第 5 章 5.1 節).
式(1.75)のように置き,
を解いて \(c_1, \ldots, c_n\) を定めればよい。
ベクトルの和の内積は、\(a,x \in \mathbb{R}^n\)とすれば
となるため、式(1.75)は次のように変形できる。
この式中の \(c_i\) が含まれる項は \(-2 c_i\left(\boldsymbol{a}, \boldsymbol{u}_i\right)\) と \(\sum_{l=1}^n c_i c_l\left(\boldsymbol{u}_i, \boldsymbol{u}_l\right)\) と \(\sum_{k=1}^n c_k c_i\left(\boldsymbol{u}_k, \boldsymbol{u}_i\right)\) であり、内積の性質\((\boldsymbol{a}, \boldsymbol{b}) = (\boldsymbol{b}, \boldsymbol{a})\)より
となる。
を 0 と置いて \(i=1, \ldots, n\) に対する式を並べると次の正規方程式を得る.
これを解いて \(c_1, \ldots, c_n\) が定まる
\(\left(\sum_{k=1}^n c_k \boldsymbol{u}_k, \sum_{l=1}^n c_l \boldsymbol{u}_l\right) = \sum_{k, l=1}^n c_k c_l\left(\boldsymbol{u}_k, \boldsymbol{u}_l\right)\) について
内積の性質
より、
となるため、
となる。
と演算子を定義すれば、
が成り立つ