不定積分#

原始関数#

導関数のもとの関数を探す#

関数v(t)の導関数が、定数のg

v˙(t)=dv(t)dt=g

で与えられたとする。このとき関数v(t)はどのような形の関数だろうか。

微分を考えると

v(t)=gt+C(C:)

と予想される。

※なぜもとの関数を見つけたいのか → 理工系では、さまざまな自然法則を微分方程式で表す事が多い。微分方程式が含む情報は、導関数のもとの関数を求めることで明らかにされる。

原始関数#

関数F(x)の導関数がf(x)に等しいとき、すなわち

F(x)=f(x)

であるとき、をf(x)原始関数 (primitive function)という。

F(x)f(x)の原始関数ならば、任意の定数Cに対してF(x)+Cも原始関数である。

ddx(F(x)+C)=ddxF(x)+0=f(x)

不定積分#

関数 f(x) の原始関数が存在するとき、原始関数全体を 記号

f(x)dx

で表す。したがってf(x)の1つの原始関数をF(x)とすれば、

f(x)dx=F(x)+C

f(x)dx不定積分 (indefinite integral)といい、定数C積分定数 (constant of integration)とよぶ。

関数f(x)の不定積分を求めることを 積分する といい、f(x)被積分関数 (integrand)という。

不定積分の基本的性質#

  1. ddxf(x)dx=f(x)

  2. F(x)dx=F(x)+C

  3. kf(x)dx=kf(x)dx(k : 定数 )

  4. (f+g)dx=fdx+gdx

積分の計算#

置換積分法#

変数xの代わりに新しい変数tを導入し、

x=φ(t)

とおくと、積分が簡単に行える場合がある。

F(x)=f(x)dx

ならば、合成関数の微分によって

ddtF(φ(t))=ddxF(x)dxdt=f(x)φ(t)=f(φ(t))φ(t)

であるため

F(φ(t))=f(φ(t))φ(t)dt

となるため

f(x)dx=f(φ(t))φ(t)dt

となる。これを 置換積分法 (integration by substitution) という。

例題
cos(ax+b)dx

t=ax+b とおく

cos(ax+b)dx=costdta=1acostdt=1asint+C=1asin(ax+b)+C

部分積分法#

2つの微分可能な関数 f(x)g(x) に対して

(fg)=fg+fg

が成り立つため、この両辺を積分して

f(x)g(x)=f(x)g(x)dx+f(x)g(x)dx

から

f(x)g(x)dx=f(x)g(x)f(x)g(x)dx

となる。これを 部分積分法 (integration by parts)という。

logxdx

を求める。f=logx,g=xと考えて部分積分法を用いる。

logxdx=logx(x)dx=logxx(logx)xdx=xlogx1xxdx=xlogxdx=xlogxx+C

部分分数分解#

有理関数の不定積分は必ず求めることができる。

2つの多項式をf(x),g(x)として、有理関数F(x)

F(x)=f(x)g(x)

と表される。分子にあるf(x)の字数が分母にあるg(x)の次数より高いならば、

x3+4x2+2x+1x2+3=x+4x+11x2+3

のような変形により、「多項式」と「分子の次数が分母の次数より低い有理関数」の和に書くことができる。

このとき、すべての有理関数は1(x+a)mAx+B[(xa)2+b2]mの形の和に分解できる。

代表的な公式#

xαdx=1α+1xα+1+C(α1)exdx=ex+Caxdx=1logaax+C(a>0,a1)1xdx=log|x|+C

三角関数:

sinxdx=cosx+Ccosxdx=sinx+C1cos2xdx=tanx+C11x2dx=sin1x+C11+x2dx=tan1x+C

2次の三角関数:

sin2x dx=1cos2x2 dx=12(1cos2x) dx=12(x+12sin2x)+C=12x+14sin2x+C

2倍角の公式 cos2θ=12sin2θ を変形したもの

cos2θ=12sin2θsin2θ=1cos2θ2

をつかって次数を下げて解いている。

cos2x dx=1+cos2x2 dx=12(1+cos2x) dx=12(x+12sin2x)+C=12x+14sin2x+C
cos2θ=2cos2θ1cos2θ=1+cos2θ2