ファイナンスの指標たち#

株価関連の指標#

PER (Price Earnings Ratio)#

PER (Price Earnings Ratio;株価収益率)

\[ PER = \frac{株価}{一株あたり利益} \]
PER=益回りの逆数

益回り=その企業の1株あたり利益が1年間に株価の何%を稼ぐか、PERの逆数

\[ 益回り = \frac{一株あたり利益}{株価} \]

PERは益回りの逆数

\[ PER = \frac{株価}{一株あたり利益} = \frac{1}{益回り} = \frac{1}{国債利回り+リスクプレミアム} \]

PBR(Price Book-value Ratio; 株価純資産倍率)#

\[ PBR = \frac{株価}{BPS} \]

BPS: Book-value Per Share

変形すると\(株価= PBR \times BPS\)なので、仮にPBRが変わらなければBPSが上がることで株価が上がっていくことになる。ただし常にPBRが同じとは限らない

\[\begin{split} \begin{align} PBR &= \frac{株価}{EPS} \times \frac{EPS}{BPS}\\ &= PER \times ROE\\ \end{align} \end{split}\]

という関係もある。企業の成長性が評価されればPERが上昇し、PBRも上昇する。ROEが上昇してもPBRは上昇する

ROE(Return on Equity; 自己資本利益率)#

\[ ROE = \frac{純利益}{株主資本} = \frac{EPS}{BPS} \]

株主が出資したお金(株主資本・自己資本)を元手に、どれだけ利益を挙げられたのか。

利益から配当金などを払った残りは株主資本として積み上がっていく。つまり、株主資本の増加率に近い。

ROEが25%の企業は3年後に株主資本が何倍になるか?
\[ 1.25^3 = 1.95 \]

つまり、約2倍になる。

成長株を探すにおいてROEが重視されるのはこのため

デュポンシステム#

デュポンシステムではROEを3つに分解する $\( \begin{aligned} ROE &= 売上高純利益率 \times 総資産回転率 \times 財務レバレッジ\\ \frac{当期純利益}{株主資本} &= \frac{当期純利益}{売上高} \times \frac{売上高}{総資産} \times \frac{総資産}{株主資本} \end{aligned} \)$

理論株価との関係#

理論株価 = PER × BPS × ROE | ビジネスハック 戦略/経営/会計

リターン関連#

リスク調整後リターン#

リターンだけでなくリスクも考えなければならない、という平均分散モデル的な考え方を反映した指標

代表的なものはシャープ・レシオ

Sharp Ratio#

安全資産のリターン\(R_0\)と危険資産\(m\)のリターン\(R_m\)を使って

\[ \text{Sharp Ratio}_m = \frac{リスク・プレミアム}{ボラティリティ} = \frac{E[R_m] - E[R_0]}{\sqrt{V[R_m]}} \]

と定義される。

シャープ・レシオはリターンが正規分布に従うときはよい指標だが、そうでないときはバイアスを孕むことが報告されている。(Smerlak, 2023

Calmar Ratio#

ドローダウンに対するファンドのリターン(もしくは無リスク資産リターンに対する超過リターン)の比率

\[ \operatorname{Calmar Ratio} = \frac{\bar{R} - R_f}{-DD} \]
  • \(\bar{R}\):平均リターン

  • \(R_f\):無リスク資産リターン

  • \(DD\):ドローダウン

Calmar Ratio(カルマーレシオ)とは #Python - Qiita

Sharpe Loss#

sharpe ratioの符号を負にしたもの。

Sharpe Loss

\[\begin{split} \begin{aligned} \tilde{R}_t^{\boldsymbol{\theta}} & =\sum_{i=1}^{N_S} \tilde{w}_{i ; t}^{\boldsymbol{\theta}} r_{i ; t, t+1} \\ \tilde{\mu}_{\Omega}^{\boldsymbol{\theta}} & =\frac{1}{|\Omega|} \sum_{t \in \Omega} \tilde{R}_t^{\boldsymbol{\theta}} \\ \tilde{\sigma}_{\Omega}^{\boldsymbol{\theta}} & =\sqrt{\frac{1}{|\Omega|-1} \sum_{t \in \Omega}\left[\left(\tilde{R}_t^{\boldsymbol{\theta}}\right)^2-\left(\tilde{\mu}_{\Omega}^{\boldsymbol{\theta}}\right)^2\right]} \\ \tilde{\mathcal{L}}_{\text {Sharpe }}(\Omega ; \boldsymbol{\theta}) & :=-\frac{\tilde{\mu}_{\Omega}^{\boldsymbol{\theta}}}{\tilde{\sigma}_{\Omega}^{\boldsymbol{\theta}}} \end{aligned} \end{split}\]
  • \(r_{i, t, t+1}\):銘柄 \(i\)\(t\) から \(t+1\) にかけてのリターン

  • \(\boldsymbol{X}_{i, t} \in \mathbb{R}^{N_f}\) :時刻 \(t\) における銘柄 \(i\) の特徵量

  • \(f_{\boldsymbol{\theta}}: \mathbb{R}^{N_f} \rightarrow \mathbb{R}^{N_S}\) :パラメータ \(\boldsymbol{\theta} \in \mathbb{R}^{N_o}, N_\theta \in \mathbb{Z}\) で特徵付けられるニューラルネットワークのモデル

  • \(\left\{\tilde{w}_{i, t}^\theta\right\}_{i \in\left\{1, \ldots, N_s\right\}}:=f_{\boldsymbol{\theta}}\left(\boldsymbol{X}_{i, t}\right)\):NN の出力であるポートフォリオの重み

  • \(\Omega\):サンプルの時刻の集合

久保 & 中川 (2024)は Sharpe lossは ミニバッチにおいて不偏推定量にならずバイアスをもつことを報告し、CARA utility lossを提案した。

CARA utility loss#

リスク回避型効用関数を用いた深層学習によるポートフォリオ最適化

\[\begin{split} \tilde{\mathcal{L}}_{\mathrm{CARA}}(\Omega, \theta)= \begin{cases}\frac{1}{\gamma} \frac{1}{|\Omega|} \sum_{t \in \Omega} \exp \left(-\gamma \tilde{R}_t^\theta\right) & (\gamma>0) \\ -\frac{1}{|\Omega|} \sum_{t \in \Omega} \tilde{R}_t^\theta & (\gamma=0)\end{cases} \end{split}\]
  • \(\gamma \geq 0\):リスク回避度。\(\gamma = 0\)でリスク中立

Information Ratio (IR)#

リスクを加味した超過収益(いわゆるアルファ)の尺度で超過収益獲得の効率性を示す数字として用いられている。この尺度は、対ベンチマークの超過収益率を超過収益率の標準偏差(いわゆるトラッキング・エラー)で割って計算する。

例えばトラッキング・エラーが4%、超過収益が2%のファンドの情報比は2%÷4%=0.5となる。

この数値が大きいほど、リスク1単位あたりの超過収益が高いことを示し、アクティブ運用の効率が高いということになる。

インフォメーション・レシオ(IR、情報レシオ)|用語集|企業年金連合会

相場に関する用語#

  • 調整(correction) :直近高値から10%以上下げた局面

  • 弱気相場(bear market) :直近高値から20%以上下げた局面

フォロースルーデイ(follow-through day)

  • 新たな上昇トレンドが始まったことを示す日。IBD(Investor’s Business Daily)が定義した用語。

  • 上昇が試みられてから4日目以降に、NASDAQあるいはS&P500が前日から大幅に出来高を増やすこと。

    • 出来高が多い=機関投資家が動いた

  • What Is A Follow-Through Day? | Investor’s Business Daily

ディストリビューションデイ(distribution day)

株価指数が下落するときに出来高が前日より増大する日。 機関投資家の売り抜けのサインとされている。

オニールによると、20日以内にディストリビューションデイが5回発生すると下落の可能性が高いとのこと

参考#