練習問題メモ 18(表現行列)

練習問題メモ 18(表現行列)#

問1#

a1,a2,a3R3b1,b2R2 を a1=(012),a2=(103),a3=(230),b1=(12),b2=(34)

により定めると、 {a1,a2,a3},{b1,b2} はそれぞれ R3,R2 の基底である。線形写像 f:R3R2

f(x)=(103020)x(xR3)

により定める。基底 {a1,a2,a3},{b1,b2} に関する f の表現行列を求めよ。

表現行列は

(f(a1),,f(an))=(b1,,bm)P

のような行列Pのこと

今回は、

(f(a1)f(a2)f(a3))=(b1b2)P

とおき、表現行列P求める。

(f(a1)f(a2)f(a3))については、

f(a1)=(103020)(012)=(62)f(a2)=(100)f(a3)=(26)

なので

(f(a1)f(a2)f(a3))=(b1b2)P(6102206)=(1324)P

を解いてPを求めることになる

B:=(1324)

の逆行列を求める。拡大係数行列を

(B|E)=(13102401)

とおいて変形すると、

1行目を2倍して2行目から引いて

(13100221)

2行目を-1/2倍して

(131001112)

2行目を3倍して1行目から引いて

(1023201112)

よって

B1=(232112)

先程の式の両辺に左から乗じると

B1(6102206)=B1(1324)P

すなわち

(232112)(6102206)=(92055101)=P

よって基底 {a1,a2,a3},{b1,b2} に関するfの表現行列は

(92055101)
import numpy as np

A = np.array([
    [-2, 3/2],
    [1, -1/2],
])

B = np.array([
    [6, 10, 2],
    [2, 0 , 6]
])


A @ B
array([[ -9., -20.,   5.],
       [  5.,  10.,  -1.]])

問2#

ベクトル空間 V からベクトル空間 W への線形写像全体の集合を Hom(V,W) と 表す。特に、 W=R のとき、 Hom(V,W) は問 17.6 で扱った V の双対空間に一致 する。 f,gHom(V,W),cR とし、 V から W への写像 f+g,cf をそれぞれ

(f+g)(x)=f(x)+g(x),(cf)(x)=cf(x)(xV)

により定める。このとき、 f+g,cfHom(V,W) となり、 Hom(V,W) はベクトル 空間となる。なお、 V の線形変換全体の集合 Hom(V,W)End(V) とも表す (End は「自己準同型写像」を意味する英単語”endomorphism”を略したものである)。

{a1,a2,,an},{b1,b2,,bm} をそれぞれ V,W の基底、 A,B をそれぞれ 基底 {a1,a2,,an},{b1,b2,,bm} に関する f,g の表現行列とする。

基底 {a1,a2,,an},{b1,b2,,bm} に関する f+g,cf の表現行列を求めよ。

f+gの表現行列#

(f(a1),,f(an))=(b1,,bm)A(g(a1),,g(an))=(b1,,bm)B

を足すと

(f(a1),,f(an))+(g(a1),,g(an))=(b1,,bm)A+(b1,,bm)B

整理すると

(f(a1)+g(a1),,f(an)+g(an))=(b1,,bm)(A+B)

(f+g)(x):=f(x)+g(x) なので

((f+g)(a1),,(f+g)(an))=(b1,,bm)(A+B)

よって基底 {a1,a2,,an},{b1,b2,,bm} に関する f+g の表現行列はA+B

cfの表現行列#

(ベクトルa1,a2,,anを列ベクトルとする行列を(a1,,an)と表記する)

(f(a1),,f(an))=(b1,,bm)Ac(f(a1),,f(an))=c(b1,,bm)A(cf(a1),,cf(an))=(b1,,bm)(cA)((cf)(a1),,(cf)(an))=(b1,,bm)(cA)

よって基底 {a1,a2,,an},{b1,b2,,bm} に関する cf の表現行列はcA

問3#

U,V,W をべクトル空間、 f:UV,g:VW を線形写像とする。 {a1,a2,,an}, {b1,b2,,bm},{c1,c2,,cl} をそれぞれ U,V,W の基底、 A を基底 {a1,a2,,an}, {b1,b2,,bm} に関する f の表現行列、 B を基底 {b1,b2,,bm},{c1,c2,,cl} に関する g の表現行列とする。

基底 {a1,a2,,an},{c1,c2,,cl} に関する合成写像 gf の表現行列を求めよ。

(f(a1),,f(an))=(b1,,bm)A

を列ベクトルごとにみると

f(aj)=i=1maijbi(j=1,2,,n)

なので

gf(aj)=g(f(aj))()=g(i=1maijbi)=i=1maijg(bi)(g)

よって

(gf(a1),,gf(an))=(g(f(a1)),,g(f(an)))=(g(b1),,g(bm))A

仮定(問題文)より、{b1,b2,,bm},{c1,c2,,cl} に関する g の行列表現は

(g(b1),,g(bn))=(c1,,cl)B

であるため、

(gf(a1),,gf(an))=(g(b1),,g(bm))A=(c1,,cl)BA

より、基底 {a1,a2,,an},{c1,c2,,cl} に関する合成写像 gf の行列表現はBA

別解
(f(a1),,f(an))=(b1,,bm)A

の両辺にgを作用させると

(g(f(a1)),,g(f(an)))=(g(b1),,g(bm))A

となる。

(g(b1),,g(bm))=(c1,,cl)B

であるため、

(g(f(a1)),,g(f(an)))=(g(b1),,g(bm))A=(c1,,cl)BA

よって基底 {a1,a2,,an},{c1,c2,,cl} に関する合成写像 gf の行列表現はBA