確率#

可測集合族\(\mathcal{B}\)の元である可測集合\(A\)に対して実数を対応させる関数\(P(\cdot)\)で、次の3つの性質を満たすものを確率(probability)という。

  1. すべての\(A \in \mathcal{B}\)に対して\(P(A) \geq 0\)

  2. \(P(\Omega) = 1\)\(\Omega\)は全事象もしくは標本空間といい、試行により起こりうるすべての結果)

  3. \(A_k \in \mathcal{B}, k=1,2,...,\)が互いに排反でるとき、つまり \(A_i \cap A_j = \emptyset, i \neq j\)の場合、\(P(\cup^\infty_{k=1} A_k) = \sum^\infty_{n=1} P(A_k)\)

条件付き確率#

\[ P(A|B) = \frac{P(A\cap B)}{P(B)} \]
同時確率の例

性別ごとにゲーム機の所持率を調査した結果、以下の表のようになったとする。

男性

女性

所持

2/6

1/4

7/12

未所持

1/6

1/4

5/12

1/2

1/2

1

女性でゲーム機を所持している確率は

\[ P(所持|女性)= \frac{P(所持\cap 女性)}{P(女性)} = \frac{1}{4} ÷ \frac{1}{2} = \frac{1}{2} \]

所持している場合に男性である確率は

\[ P(男性|所持)=\frac{P(男性\cap 所持)}{P(所持)} = \frac{2}{6} ÷ \frac{7}{12} = \frac{4}{7} \]

となる。

独立性#

同時確率は条件付き確率の定義

\[ P(A|B) = \frac{P(A\cap B)}{P(B)} \]

を整理すると、

\[ P(A\cap B) = P(A|B)P(B) \]

と表すことができる。

2つの事象AとBが独立であるとき、Aが起こる確率はBが起こったという事象とは関係ないため、\(P(A|B) = P(A)\)となるため、

\[ P(A\cap B) = P(A)P(B) \]

ということになる。ここから、独立性の定義は次のようになる。

定義(独立性)

2つの事象AとBが

\[ P(A\cap B) = P(A)P(B) \]

を満たすとき、AとBは独立であるという。

全確率の公式(Law of total probability)#

\(B_1, B_2, ...\)を互いに排反な事象の列とし、\(P(B_k)>0, P(U^\infty_{k=1} B_k) = \Omega\)を満たすとき、事象\(A\)の確率は次のように分解できる

\[ P(A) = \sum^\infty_{k=1} P(A|B_k) P(B_k) \]

ベイズ(Bayes)の定理#

\(B_1, B_2, ...\)を互いに排反な事象の列とし、\(P(B_k)>0, P(U^\infty_{k=1} B_k) = \Omega\)を満たすとする。このとき任意の事象Aに対してAを与えたときの\(B_j\)の条件付き確率\(P(B_j|A)\)は次のように表される。

\[ P(B_j|A) = \frac{P(A|B_j)P(B_j)}{\sum^\infty_{k=1} P(A|B_k) P(B_k)} \]

参考#

  • 久保川 達也(2017)『現代数理統計学の基礎』、共立出版。