業績ベースの投資#

いい決算を出した銘柄を買い、悪い決算を出した銘柄を売る#

広瀬隆雄氏が「機関投資家の標準的な投資手法」と紹介している手法。決算に従って売買する。

ここでの「いい決算」の定義とは、

  1. 売上がコンセンサス予想(アナリストたちの予想の平均値)を上回っている

  2. EPS(利益)がコンセンサス予想を上回っている

  3. (もし発表があれば)来期成長率ガイダンス(来期の成長予想)がコンセンサス予想を上回っている

すべて満たす こと。

効率的市場仮説が一定程度有効であれば、売上・EPSの平均的な予想は株価に織り込み済みである。よって まだ織り込まれていない情報 をベースに考える必要がある。そのため予想を上回る決算がいい決算になる。

普通は「いい決算」は黒字であることを想像するかもしれないが、もし黒字であっても事前予想に満たない売上・EPS・成長率であれば、その織り込まれていなかった分だけ株価は下がって調整されるし、その企業の内部に成長が鈍化する構造的な問題を抱えている(→来期以降も悪い決算を出す)可能性があるため、売ったほうがいい。

参考:【永久保存版】米国株初心者だった俺が広瀬隆雄氏から学んだ最強の投資法とプロの投資マインド|ばっちゃまの米国株🇺🇸👵🏻

ROEを重視する#

ROE#

ROEは

\[ ROE = \frac{ 当期純利益 }{ 株主資本 } \]

という指標。P/Lにおける純利益はB/Sにおける利益剰余金(配当を除いた利益。株主資本を構成する)になり、株主資本を積み上げることになる。

つまり、ROEは株主資本の成長率を意味する

ROEを分解するのがデュポンシステム

\[\begin{split} \begin{gathered} \mathrm{ROE}=\text { 売上高純利益率 } \times \text { 総資産回転率 } \times \text { 財務レバレッジ } \\ \left(\frac{\text { 当期純利益 }}{\text { 株主資本 }}\right)=\left(\frac{\text { 当期純利益 }}{\text { 売上高 }}\right) \times\left(\frac{\text { 売上高 }}{\text { 総資産 }}\right) \times\left(\frac{\text { 総資産 }}{\text { 株主資本 }}\right) \end{gathered} \end{split}\]
ROEが25%の企業の3年後の株主資本は何倍になるか
\[ \text{ 3年後の株主資本 } = 1.25 \times 1.25 \times 1.25 = 1.95 \]

およそ2倍になる。株価が株主資本に概ね相関することを考えると、3年で2倍になる株を見つけられる可能性はある

「予想」 のいらない株式投資法#

スクリーニング

スプレッドシートに

  1. 売上高(売上収益)

  2. 営業利益

  3. 当期純利益

  4. 株主資本(ここでの株主資本は純資産や資本から非支配持分を除いたもの)

  5. 総資産

を記入し、これらをもとに

  1. ROE

  2. 株主資本比率

を計算する

スクリーニングの 5つのチェックポイント

前提:10年以上の業績が公開されている(景気の1サイクルを経験していて不況時の経営の頑健性が確認できる)企業である

  1. リーマンショック時の決算の当期純利益が赤字ではない

  2. 過去 5 年間、当期純利益が赤字ではない

  3. ROE が過去 3 年間の平均で 12% 程度あるか

  4. 過去 3 年の株主資本比率の平均が 50% 以上か

  5. 5年前よりも直近決算の当期純利益が大きいかどうか