体論#
四則演算ができる集合のことを 体 (field, たい)という。
定義
(2つ以上の要素をもつ)可換環に \(\times\) の逆元の存在条件
0 以外のすべての \(a\) に対して、ある要素 \(a^{-1}\) が存在して
\(a \times a^{-1}=a^{-1} \times a=1\)
をさらに課したものを 体 (field) という
例#
有理数全体\(\mathbb{Q}\)、実数全体\(\mathbb{R}\)、複素数全体\(\mathbb{C}\) は体である
ガロア理論#
ガロア(Galois, 1811-1832)が\(n\)次方程式の解について探求するためにつくった、体と群の対応について述べた理論。
5次方程式の解の公式#
2次方程式 \(a x^2+b x+c=0\) に関しては、 有名な解の公式
\[
x=\frac{-b \pm \sqrt{b^2-4 a c}}{2 a}
\]
が存在する。
3次方程式と4次方程式も解の公式が存在する。
しかし、5次方程式には解の公式が存在しない(アーベル・ルフィニの定理)。
(※解は存在するが、公式が存在しない。つまり、有理数の加減乗除や\(n\)乗根を繰り返すことでは表せない。)
5次方程式の解の公式が存在しないことを初めて証明したのはアーベルだが、後にガロアがある群(今日では ガロア群 と呼ばれている群)を導入して、「方程式の解が加減乗除と\(n\)乗根をとる操作で表される」ことと「ガロア群が可解である」ことを結びつけた。
判別式#
判別式(discriminant)は多項式の解の存在を判定するもの。解の公式とは異なり、こちらは5次以上の方程式にも判別式が存在する。
(例)2次方程式\(ax^2 + bx + c = 0\)の判別式は
\[
D = b^2 - 4ac
\]
となる。
\[\begin{split}
\text { 判別式Dについて }\left\{\begin{array}{l}
D>0 \text { なら異なる2つの実数解をもつ } \\
D=0 \text { なら重解をもつ } \\
D<0 \text { なら実数解をもたない }
\end{array}\right.
\end{split}\]
と判定する。