練習問題メモ 13(ベクトル空間)

練習問題メモ 13(ベクトル空間)#

問1#

次の問いに答えよ。

  1. ベクトル空間の部分空間の定義を書け

ベクトル空間Vの空でない部分集合WVにおける和とスカラー倍の演算でベクトル空間になるとき、WVの部分空間という

  1. W をべクトル空間 V の部分集合とする。 WV の部分空間であることと同値な 3 つの条件を書け。

  1. Wが空ではない:W0W

  2. 元の和が元:a,bWa+bW

  3. 元の定数倍が元:aW,λRλaW

W0W
  1. R2 の部分集合 W を次の(ア)、(イ)のように定める。 WR2 の部分空間 ではないことを示せ。

()W={(x1x2)R2|x1+2x2=3}()W={(x1x2)R2|x10}

(ア)#

Rは0を含むので、x1=x2=0の場合を考えると

x1+2x2=03

なのでx1+2x2=0W

よってWR2の部分空間ではない

(イ)#

ダメな例

負の定数cで定数倍にしたときc(x1x2)TWのため

↑はx1=0のときcx1=0になってWになるのでだめ

x=(x1x2)=(10)R2

c=1を乗じた場合

cx=(10)

x1=1となるためxW

よってWR2の部分空間ではない

Note

「部分空間でないことを示せ」は3条件のうち1つでも反例を見つければOK

問2#

W1,W2 をべクトル空間 V の部分空間とする。

  1. V の部分集合

W1W2={xxW1 かつ xW2}

V の部分空間であることを示せ。

W1W2は証明しようがない気がする

  1. 0W1,0W2のため、0W1W2が成り立つ

  2. x,yWix+yWi(i=1,2)のため、x,yW1W2x+yW1W2が成り立つ

  3. cRについて、xWicxWi(i=1,2)のため、xW1W2cxW1W2が成り立つ

  1. V の部分集合 W1+W2

W1+W2={x+yxW1,yW2}

により定めると、 W1+W2V の部分空間であることを示せ。この W1+W2W1W2 の和空間という。

  • W1W2W1+W2

  1. 0W10W2のため、0W1+W2が成り立つ

  2. (x,yWix+yWi) i(i=1,2)のため、x,yW1W2x+yW1+W2が成り立つ

  3. cRについて、(xWicxWi)i(i=1,2)のため、xW1+W2cxW1+W2

問3#

n 次以下の実数係数の t に関する多項式全体の集合 R[t]nR[t] の部分空間であることを示せ。

(1) 0Rでありt=0となるtが存在するため、0R[t]n

(2) A[t]n,B[t]nR[t]nについて、

A[t]n={i=0naiti | a0,a1,,anR}B[t]n={i=0naiti | b0,b1,,bnR}

とすると

A[t]n+B[t]n={i=0n(ai+bi)ti | a0,,an,b0,,bnR}

であり、ai+biRであるため、和について閉じている

(3) 多項式R[t]nのスカラーcR倍は

R[ct]n={i=0ncaiti | a0,,anR}

であり、caiRiであるためR[ct]nR[t]nとなり、スカラー倍についても閉じている

よってR[t]nR[t]の部分空間である

問4#

AMk,l(R),BMm,n(R),CMk,n(R) を固定しておき、 Ml,m(R) の部分集合 W

W={XMl,m(R)AXB=C}

により定める。 WMl,m(R) の部分空間になるのはどのようなときか。

Wが部分空間であるためにはOWである必要がある。OWの場合はX=Oであり、AOB=CのためC=Oである必要がある。

C=Oのとき、X1,X2Wについて

A(X1+X2)B=AX1B+AX2B=O+O=OW

またcRについて

cX1=cAX1B=cC=OW

問5#

n を 2 以上の自然数とし、 Mn(R) の部分集合 W

W={XMn(R)|X|=0}

により定める。 WMn(R) の部分空間になるかどうかを調べよ。

部分空間にならない

  • |X|=0を満たす行列は実行列中に存在するので、W

  • 零行列の行列式は0になる|O|=0のでOW

  • 行列式の性質|cA|=cn|A| (cR,ARn×n)より、特異行列のスカラー倍も特異行列であるため、スカラー倍について閉じている

  • 特異行列の和が正則行列になることはありえるため、一般にはX1,X2W,(X1+X2)W

特異行列の和や定数倍が正則行列になるのか?→なることはありえる

例:

|1000|=0,|0001|=0

であるが

|(1000)+(0001)|=|1001|=1
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from tqdm import tqdm
from itertools import product
import numpy as np

x = list(range(10))
singulars = []
for values in product(x, repeat=4):
    X = np.array(values).reshape((2, 2))
    if np.linalg.det(X) == 0:
        singulars.append(X)

errors = []
for i in range(1, len(singulars)):
    Y = singulars[i] + singulars[i-1]
    if np.linalg.det(Y) != 0:
        errors.append({
            "Y": Y,
            "X1": singulars[i],
            "X2": singulars[i-1],
        })
errors[:3]
Hide code cell output
[{'Y': array([[0, 1],
         [9, 9]]),
  'X1': array([[0, 1],
         [0, 0]]),
  'X2': array([[0, 0],
         [9, 9]])},
 {'Y': array([[1, 9],
         [0, 9]]),
  'X1': array([[1, 0],
         [0, 0]]),
  'X2': array([[0, 9],
         [0, 9]])},
 {'Y': array([[2, 1],
         [9, 0]]),
  'X1': array([[1, 1],
         [0, 0]]),
  'X2': array([[1, 0],
         [9, 0]])}]