指数関数と対数関数#
指数関数#
(定義)指数関数
\(a\)をある定数として、
を、\(a\)を 底 とする 指数関数(exponential function)という。
ネイピア数#
以下で定義される定数\(e\)をネイピア数という
(定義)自然指数関数
\(e\)を底とする指数関数
を 指数関数(the exponential function)あるいは明示的に 自然指数関数という。
(英語だとtheがつくかどうかで底の違いを表現する。日本語だとややこしいが、標準的な指数関数は\(e\)を底とする指数関数である)
\(x=0\)のとき、\(e^0 = 1\)
\(x=1\)のとき、\(e^1 = e\)
\(x=-1\)のとき、\(e^{-1} = \frac{1}{e} = 0.3678 \cdots\)
(定義)自然指数関数
指数関数にはいくつかの定義があり、オイラーによって最初に定義されたものは以下のものになる
マクローリン級数によって冪級数の形にした
の定義もある
\(\left(1+\frac{x}{n}\right)^n\)を有限の範囲でいくつか試すと以下のようになる
x = 1
for n in range(1, 6):
e = (1 + (x / n))**n
print(f"{n=}, {e=:.3f}")
n=1, e=2.000
n=2, e=2.250
n=3, e=2.370
n=4, e=2.441
n=5, e=2.488
指数(関数)の基本的性質(指数法則)#
指数法則
\(x^{-1}\)と\(x\)を乗じれば\(x^{-1} \times x^1 = x^{-1 + 1} = x^0 = 1\)となる。
なので\(x^{-1} = \frac{1}{x}\)となる。一般に\(x^{-n}\)も同様。
\(x^{\frac{1}{2}}\)と\(x^{\frac{1}{2}}\)を乗じれば\(x^{\frac{1}{2}} \times x^{\frac{1}{2}} = x^{\frac{1}{2} + \frac{1}{2}} = x\)となる。
なので\(x^{\frac{1}{2}} = \sqrt{x}\)
\(x\)を0.01増やすと\(y\)が1%増える#
\(x\)を0.01増やすと\(y\)が1%増える
自然指数関数
は、\(x\)を0.01増やすと\(y\)が1%増えるように底が調整されている(底がネイピア数\(e\)だとそのようになる)
この誤差は\(x\)が大きくなるにつれて大きくなる
| x | y | |
|---|---|---|
| 0 | 0.00 | 1.000 |
| 1 | 0.01 | 1.010 |
| 2 | 0.02 | 1.020 |
| 3 | 0.03 | 1.030 |
| 4 | 0.04 | 1.041 |
| 5 | 0.05 | 1.051 |
| 6 | 0.06 | 1.062 |
| 7 | 0.07 | 1.073 |
| 8 | 0.08 | 1.083 |
| 9 | 0.09 | 1.094 |
| 10 | 0.10 | 1.105 |
対数関数#
指数関数の逆関数を 対数関数 (logarithmic function)という。
\(a^y = x\)のとき、「\(y\)は\(a\)を 底 とする \(x\) の対数」といい
と表す。
(定義)対数
\(a > 0, a \neq 1, M > 0\)について
対数関数の性質#
\(a > 0, a \neq 1, b > 0, M > 0, N > 0\)に対して
底が\(a\)の対数を取る場合
自然対数を使う場合
元本が2倍になる年数は#
例:元本が2倍になる年数は?
年率5%の利益が複利で運用できるとして、元本が2倍になるには何年かかる?
利率\(r\)で\(n\)年間複利運用したときの利益率\(\pi\)は
\(r=0.05\)とすると、\(\pi=2\)になるのは
両辺の対数をとると
なので約14年かかることになる。
import numpy as np
np.log10(2) / np.log10(1.05)
14.206699082890461
\(\ln(1.01) \approx 0.01\)#
\(x\)を1%増やすと\(y = \ln(x)\)は0.01増える: \(\ln( 1 + 0.01) \approx 0.01\)
\(\ln(1.01) \approx 0.01\)はテイラー近似から導出される。まずテイラー近似について述べる
\(f(x)=\ln(x+1)\)とおくと、その\(n\)次の微分は
となる。もし\(x=0\)なら
となる。
これを\(x=0\)でのテイラー展開(つまりマクローリン展開)
にあてはめると、
となる。これは\(x\)が極めて小さな値(\(x \approx 0\))であれば\(x^2\)や\(x^3\)といった値は非常に小さくなるため、\(\ln(1+x) \approx x\)となる。
よって\(\ln( 1 + 0.01) \approx 0.01\)となる
数値計算的に確かめると、以下のようになる
log: 0.0099503
approx 1: 0.0100000
approx 2: 0.0099500
approx 3: 0.0099503