練習問題メモ 03

Contents

練習問題メモ 03#

和達三樹. (2019). 微分積分. 第5章 練習問題

[1]#

[1] 次の関数は原点 (0,0) を除いて連続である. 原点でも連続にできるか? 直線 y =mx に沿って原点に近づくとして調べよ.

 (1) z=ex2+y21x2+y2
z=ex2+m2x21x2+m2x2=e(1+m2)x21(1+m2)x2

指数関数のテイラー展開

exp(ax)=1+ax+(ax)22!+(ax)33!+

により、xが小さい時

eax2=1+ax2

となるため

z=e(1+m2)x21(1+m2)x2=1+(1+m2)x21(1+m2)x2=(1+m2)x2(1+m2)x2=1

となり、mの値の取り方(0への近づき方)によらず1に収束する

よって連続にできる

z={ex2+y21x2+y2((x,y)(0,0))1((x,y)=(0,0))
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import numpy as np
import matplotlib.pyplot as plt

a = 1
x = np.linspace(-1, 1, 100)
plt.plot(x, np.exp(a * x**2))
plt.xlabel("x")
plt.ylabel(f"$\exp(a x^2), a=1$")
plt.title(f"$\exp(a x^2), a=1$")
plt.show()
../../../_images/f6f43f4d22418d9d52ba2c55719b4cba5ca9424ce3fa646b13101bb8f6d92990.png
 (2) z=x2y2x4+y4
limx0z=limx0x4m2x4+m4x4=limx0m21+m4=m21+m4

mの値によって異なる値をとるため、原点への近づけ方によって異なる値になってしまう。よって極限は存在せず、連続にできない。

[2]#

[2] 次の関数 f(x,y)fx,fy,fxx,fyy,fxy,fyx を計算せよ.

(1) f(x,y)=x3x2y+xy2y3+1

(2) f(x,y)=x2cosyy2cosx

(3) f(x,y)=arctanx2y

(1) f(x,y)=x3x2y+xy2y3+1

fx=3x22xy+y2fy=3y2+2xyx2fxx=6x2yfyy=6y+2xfxy=2x+2yfyx=2x+2y

(2) f(x,y)=x2cosyy2cosx

fx=2xcosy+y2sinxfy=x2siny2ycosxfxx=2cosy+y2cosxfyy=x2cosy2cosxfxy=2xsiny+2ysinxfyx=2xsiny+2ysinx

(3) f(x,y)=arctanx2y

(arctanx)=1/(1+x2)なので

fx=11+x4y22xyfy=11+x4y2x2fxx=(1+x4y2)(1+x4y2)22xy+11+x4y2(2xy)(=4x3y2(1+x4y2)22xy+11+x4y22y=8x4y3(1+x4y2)2+2y1+x4y2=8x4y3(1+x4y2)2+2y(1+x4y2)(1+x4y2)2=2y+2x4y28x4y3(1+x4y2)2=2y6x4y3(1+x4y2)2=2y(13x4y2)(1+x4y2)2fyy=(1+x4y2)(1+x4y2)2x2+11+x4y2(x2)(=2x6y(1+x4y2)2fxy=(2xy)(1+x4y2)2xy(1+x4y2)(1+x4y2)2=2x(1+x4y2)4x5y2(1+x4y2)2=2x+2x5y24x5y2(1+x4y2)2=2x2x5y2(1+x4y2)2=2x(1x4y2)(1+x4y2)2fyx=(x2)(1+x4y2)x2(1+x4y2)(1+x4y2)2=2x(1+x4y2)x2×4x3y2(1+x4y2)2=2x+2x5y24x5y2(1+x4y2)2=2x2x5y2(1+x4y2)2=2x(1x4y2)(1+x4y2)2
import sympy as sp
x, y = sp.symbols('x y')
f = sp.atan(x**2 * y)

df = sp.diff(f, x)
sp.diff(df, x)
8x4y3(x4y2+1)2+2yx4y2+1
import sympy as sp
x, y = sp.symbols('x y')
f = sp.atan(x**2 * y)

df = sp.diff(f, x)
sp.diff(df, x)
8x4y3(x4y2+1)2+2yx4y2+1

[3]#

[3] 次の関数の偏導関数 zx,zy を求めよ.

(1) z=x2+4xy+y3

(2) z=xy2yx2

(3) z=sin(2x+1)cos(y2+4)

(4) 3x2+4y25z2=20

(5) sinxy+sinyz+sinxz=1

(1) z=x2+4xy+y3

zx=2x+4yzy=3y2+4x

(2) z=xy2yx2

zx=1y2(x)y(1x2)=1y2(x)+y(x2)(x2)2()=1y2+2yx3zy=(1y2)x1x2(y)=2yy4x1x2=2xy31x2

(3) z=sin(2x+1)cos(y2+4)

zx=(sin(2x+1))cos(y2+4)=2cos(2x+1)cos(y2+4)zy=sin(2x+1)(cos(y2+4))=2ysin(2x+1)sin(y2+4)
import sympy as sp
x, y = sp.symbols('x y')
f = sp.sin(2*x + 1) * sp.cos(y**2 + 4)
sp.diff(f, y)
2ysin(2x+1)sin(y2+4)

(4) 3x2+4y25z2=20

F(x,y,z):=3x2+4y25z220=0

とおく。

Fx=6x,Fy=8y,Fz=10z

であり、Fz0のため、定理

zx=F/xF/z,zy=F/yF/z

より

zx=F/xF/z=6x10z=3x5zzy=F/yF/z=8y10z=4y5z

(5) sinxy+sinyz+sinxz=1

F(x,y,z):=sinxy+sinyz+sinxz1=0

とおく。

Fx=ycosxy+zcosxzFy=xcosxy+zcosyzFz=ycosyz+xcosxz

であり、Fz0のため、定理より

zx=F/xF/z=ycosxy+zcosxzycosyz+xcosxzzy=F/yF/z=xcosxy+zcosyzycosyz+xcosxz
import sympy as sp
x, y, z = sp.symbols('x y z')
f = sp.sin(x*y) + sp.sin(y*z) + sp.sin(x*z) - 1
sp.diff(f, y)
xcos(xy)+zcos(yz)

[4]#

[4] x=ρcosϕ,y=ρsinϕ のとき, 次のことを証明せよ.

(1) xfyyfx=0 ならば, f(x,y)ρ だけの関数である.

(2) xfx+yfy=0 ならば, f(x,y)ϕ だけの関数である.

(3) 2fx2+2fy2=2fρ2+1ρfρ+1ρ22fϕ2

問題略解
ρ=x2+y2,ϕ=arctan(y/x)ρx=xρ=cosϕ,ρy=yρ=sinϕϕx=yρ2=sinϕρ,ϕy=xρ2=cosϕρfx=fρρx+fϕϕx=cosϕfρsinϕρfϕfy=fρρy+fϕϕy=sinϕfρ+cosϕρfϕ

(1) x(f/y)y(f/x)=f/ϕ=0. よって, fϕ によらず, ρ だけの関数.

(2) x(f/x)+y(f/y)=ρ(f/ρ)=0. よって, fρ によらず, ϕ だけの関数.

(3)

2fx2=x(fx)=ρ(fx)ρx+ϕ(fx)ϕx=ρ(cosϕfρsinϕρfϕ)cosϕ+ϕ(cosϕfρsinϕρfϕ)(sinϕρ)=cos2ϕ2fρ2+2sinϕcosϕρ2fϕ2sinϕcosϕρ2fρϕ+sin2ϕρfρ+sin2ϕρ22fϕ2

同様にして,

2fy2=sin2ϕ2fρ22sinϕcosϕρ2fϕ+2sinϕcosϕρ2fρϕ+cos2ϕρfρ+cos2ϕρ22fϕ2

よって,

2fx2+2fy2=2fρ2+1ρfρ+1ρ22fϕ2

答例

(2) xfx+yfy=0 ならば, f(x,y)ϕ だけの関数である.

x=ρcosϕ,y=ρsinϕ

合成関数の微分(p.121)より

fρ=fxxρ+fyyρ

ここで

xρ=cosϕ=xρ,yρ=sinϕ=yρ

なので、

fρ=xρfx+yρfy=1ρ(xfx+yfy)

もし

(xfx+yfy)

がゼロならばfρ=0であり、導関数がゼロということはすなわちfρに依存せずϕのみの関数

合成関数の微分の定理(p.122)

z=f(x,y) において xyは変数uvに依存して、

x=g(u,v),y=h(u,v)

とすると

dz=zxdx+zydy,dx=xudu+xvdv,dy=yudu+yvdv

あとの2つの式を最初の式に代入して

dz=zx(xudu+xvdv)+zy(yudu+yvdv)=(zxxu+zyyu)du+(zxxv+zyyv)dv

zuvの関数とみなせるから

dz=zudu+zvdv

dudvの係数(偏導関数の部分)をそれぞれ等しいとおくと

zu=zxxu+zyyuzv=zxxv+zyyv

x=ρcosϕ,y=ρsinϕ

(1) xfyyfx=0 ならば, f(x,y)ρ だけの関数である.

定理より

fϕ=fxxϕ+fyyϕ

ここで

xϕ=ρsinϕ=y,yϕ=ρcosϕ=x

であるから

fϕ=xfyyfx

となる

よってxfyyfx=0なら、fϕで微分したとき変化がない定数ということなので、fρだけの関数

(3) 2fx2+2fy2=2fρ2+1ρfρ+1ρ22fϕ2

考え方:2次の合成関数の偏導関数を求めていく

2fx2=x(fx)=x(fρρx+fϕϕx)=ρ(fx)ρx+ϕ(fx)ϕx

ここでρxϕxを求めるために、ρ,ϕの関数型とその導関数を求める必要がある

Step 1. ρ,ϕの関数型の同定:

x2+y2=ρ2cos2ϕ+ρ2sin2ϕ=ρ2(cos2ϕ+sin2ϕ)=1=ρ2ρ=x2+y2yx=ρsinϕρcosϕ=tanϕϕ=arctan(tanϕ)=arctan(yx)

よって

ρ=x2+y2,ϕ=tan1(yx)

Step 2. ρ,ϕの偏導関数

ρx=xx2+y2=xρ=cosϕ,ρy=yx2+y2=yρ=sinϕ
ϕx=yx2+y2=sinϕρ,ϕy=xx2+y2=cosϕρ
導出
ϕx=11+(y/x)2(xx2y)=11+y2x2yx2=1x2+y2x2yx2=x2x2+y2yx2=yx2+y2=sinϕρϕy=11+(y/x)21x=xx2+y2=cosϕρ

Step 3. fの偏導関数

合成関数の偏微分

fx=fρρx+fϕϕxfy=fρρy+fϕϕy

に代入すると

fx=fρcosϕfϕsinϕρfy=fρsinϕ+fϕcosϕρ

Step 4. fの2次の偏導関数

2fx2=x(fx)=x(fρρx+fϕϕx)=ρ(fx)ρx+ϕ(fx)ϕx=ρ(fx)cosϕ+ϕ(fx)(sinϕρ)=ρ(fρρx+fϕϕx)cosϕ+ϕ(fρρx+fϕϕx)(sinϕρ)=ρ(cosϕfρsinϕρfϕ)cosϕ+ϕ(cosϕfρsinϕρfϕ)(sinϕρ)=ρ(cos2ϕfρ)ρ(sinϕcosϕρfϕ)ϕ(sinϕcosϕρfρ)+ϕ(sin2ϕρ2fϕ)=cos2ϕ2fρ2ρ(sinϕcosϕρfϕ)ϕ(sinϕcosϕρfρ)+sin2ϕρ22fϕ2=cos2ϕ2fρ2+2sinϕcosϕρ2fϕ2sinϕcosϕρ2fρϕ+sin2ϕρfρ+sin2ϕρ22fϕ2

最後の2行がつながらないが、うまくやればいけそう?

2fy2=y(fy)=y(fρρy+fϕϕy)=ρ(fy)ρy+ϕ(fy)ϕy=ρ(fy)sinϕ+ϕ(fy)cosϕρ=ρ(fρρy+fϕϕy)sinϕ+ϕ(fρρy+fϕϕy)cosϕρ=ρ(fρsinϕ+fϕcosϕρ)sinϕ+ϕ(fρsinϕ+fϕcosϕρ)cosϕρ=sin2ϕ2fρ22sinϕcosϕρ2fϕ+2sinϕcosϕρ2fρϕ+cos2ϕρfρ+cos2ϕρ22fϕ2

Step 5. fの2次の偏導関数の和を求める

2fx2+2fy2=2fρ2(cos2ϕ+sin2ϕ)+2fϕ2(sin2ϕ+cos2ϕρ2)+1ρfρ

cos2ϕ+sin2ϕ=1のため

2fx2+2fy2=2fρ2+1ρfρ+1ρ22fϕ2

ということらしい

[5]#

[5] 3 つの変数 x,y,z の間に F(x,y,z)=0 の関係がある. 次のことを示せ.

(1) (yx)z=1/(xy)z

(2) (xy)z(yz)x(zx)y=1

(1) (yx)z=1/(xy)z

(yx)zzを固定したもとでの偏導関数。よってyxだけの関数であり、1変数の関数である。

逆関数の微分公式

dxdy=1/dydx(dydx0 のとき )

より

(yx)z=1/(xy)z

(2) (xy)z(yz)x(zx)y=1

略解

zx,y の関数だから,

dz=(zx)ydx+(zy)xdy

ところで, (x/y)z は, z を一定, すなわち, dz=0 としたときの dx/dy であるから,

上の式の両辺を dy で割って,

0=(zx)y(xy)z+(zy)x

(1)により, (z/y)x=1/(y/z)x だから $(zx)y(xy)z(yz)x+1=0$

よって,証明する式を得る.

なぜこうではないのか?:

定理より

(xy)z=Fy(x,y,z)Fx(x,y,z)(yz)x=Fz(x,y,z)Fy(x,y,z)(zx)y=Fx(x,y,z)Fz(x,y,z)

問題の積は

(xy)z(yz)x(zx)y=Fy(x,y,z)Fx(x,y,z)×Fz(x,y,z)Fy(x,y,z)×Fx(x,y,z)Fz(x,y,z)=(1)3Fx(x,y,z)Fy(x,y,z)Fz(x,y,z)Fx(x,y,z)Fy(x,y,z)Fz(x,y,z)=1

[6]#

[6] P(x,y)dx+Q(x,y)dy が全微分であるならば,

Py=Qx

であることを示せ.

ある関数f(x,y)が存在して、

df=P(x,y)dx+Q(x,y)dy

であるとする。

P(x,y)=fx=fx,Q(x,y)=fy=fy

であるため、

Py=fxy,Qx=fyx

を意味する。

定理より、

fxy=fyx

であるため

Py=Qx

が成り立つ。

[7]#

[7] 関数 F(x,y) がパラメータ λ と定数 p に対して,

F(λx,λy)=λpF(x,y)

をみたすとき, p 次の同次関数(homogeneous function)であるという. このとき, 次式 を証明せよ。

xFx+yFy=pF

Eulerの等式というらしい(参考)。

Eulerの等式

F:R2Rp次同次関数とする。このときF(x,y)について、

xFx+yFy=pF

が成立する。

F(λx,λy)=λpF(x,y)

の両辺をλで微分すると、

左辺は、F(λx,λy)=F(u(λ),v(λ))とおくと、全微分の合成関数の定理より

dF(u(λ),v(λ))dλ=Fududλ+Fvdvdλ=Fux+Fvy

右辺は

dλpF(x,y)dλ=pλp1F(x,y)

整理すると

Fux+Fvy=pλp1F(x,y)

ここでλ=1とすると、u=x,v=yなので

Fxx+Fyy=pF(x,y)

[8]#

[8] x=rsinθcosϕ,y=rsinθsinϕ,z=rcosθ のとき, 次式を証明せよ.

2fx2+2fy2+2fz2=2fr2+2rfr+1r22fθ2+1r2cotθfθ+1r2sin2θ2fϕ2

左辺はf(x,y,z)(直交座標系)だが右辺はf(r,θ,ϕ)(球面座標系)となっている。両者の関連を導く。

xr,θ,ϕの関数なので、

1階微分は

fx=frrx+fθθx+fϕϕx

2階微分は

2f2x=x(fx)=x(frrx+fθθx+fϕϕx)=r(fx)rx+θ(fx)θx+ϕ(fx)ϕx()

r,θ,ϕ

r=x2+y2+z2,θ=arctan(x2+y2/z),ϕ=arctan(y/x)

であることを知っていればまだ求められそう

rの導関数)

rx=12(x2+y2+z2)1/22x=xr=sinθcosϕry=yr=sinθsinϕrz=zr=cosθ

=sinθcosϕとかはよくわからない

θの導関数)

公式より

ddxarctanx=11+x2

なので

u=x2+y2/zとおくと

θx=arctan(u)uux=11+u21z12(x2+y2)1/22x=11+x2+y2z2xzx2+y2=1x2+y2+z2z2xzx2+y2=z2r2xzx2+y2=zxr2x2+y2

同様に

θy=zyr2x2+y2

またzは

θz=arctan(u)uuz=11+u21z2x2+y2=z2r2x2+y2z2=x2+y2r2

まとめると

θx=zxr2x2+y2,θy=zyr2x2+y2,θz=x2+y2r2

ϕの導関数)

公式より

ddxarctanx=11+x2

なので

ϕx=arctan(y/x)(y/x)(y/x)x=11+y2x2(yx2)=yx2+y2θy=arctan(y/x)(y/x)(y/x)y=11+y2x21x=1x2+y2x21x=x2x2+y21x=xx2+y2θz=0

(複雑すぎてキャパオーバー

関連知識

問題冒頭の

{x=rsinθcosϕy=rsinθsinϕz=rcosθ

は球面座標から直交座標への変換のこと(球面座標系 - Wikipedia

直交座標系(Cartesian coordinates system)におけるLaplacian operator(勾配の2階微分バージョン)

Δf=2f=2fx2+2fy2+2fz2

球面座標系(spherical coordinates system)におけるLaplacian

Δf=2fr2+2rfr+1r22fθ2+1r2cotθfθ+1r2sin2θ2fϕ2