練習問題メモ 12(行列の指数関数)#
https://www2.itc.kansai-u.ac.jp/~afujioka/2012-2016/2012/la1/120627la1.pdf
行列指数関数
定理:\(\exp(A+B) = \exp(A)\exp(B)\)
2つの\(n\)次正方行列\(A,B\)について、両者が可換ならば
定理:\(\exp(A)^{-1} = \exp(-A)\)
よって
定理:\(\exp(A)^{T} = \exp(A^T)\)
\(k=1,2,\dots\)について
であるため
問1#
正方行列 \(\left(\begin{array}{ll}\lambda & 1 \\ 0 & \lambda\end{array}\right)\) の指数関数を求めよ。
とする。
数学的帰納法により、
であるため
証明
\(n=1\)のとき $\( A^1 = \begin{pmatrix} \lambda^1 & 1 \times \lambda^{0}\\ 0 & \lambda^1 \end{pmatrix} \)\( \)n = 2\(のとき \)$ A^2 = \begin{pmatrix} \lambda & 1\ 0 & \lambda \end{pmatrix} \begin{pmatrix} \lambda & 1\ 0 & \lambda \end{pmatrix}
\begin{pmatrix} \lambda^2 & 2 \lambda\ 0 & \lambda^2 \end{pmatrix} $\( \)n=k\(とおくと \)\( \begin{align} A^k &= A^{k-1} A\\ &= \begin{pmatrix} \lambda^{k-1} & k-1 \lambda^{k-2}\\ 0 & \lambda^{k-1} \end{pmatrix} \begin{pmatrix} \lambda & 1\\ 0 & \lambda \end{pmatrix} \\ &= \begin{pmatrix} \lambda^k & k \lambda^{k-1}\\ 0 & \lambda^k \end{pmatrix} \end{align} \)\( \)n = k+1\(のとき \)\( \begin{align} A^{k+1} &= A^{k} A\\ &= \begin{pmatrix} \lambda^k & k \lambda^{k-1}\\ 0 & \lambda^k \end{pmatrix} \begin{pmatrix} \lambda & 1\\ 0 & \lambda \end{pmatrix} \\ &= \begin{pmatrix} \lambda^{k+1} & (k+1) \lambda^{k}\\ 0 & \lambda^{k+1} \end{pmatrix} \end{align} \)\( よって \)\( A^n = \begin{pmatrix} \lambda^n & n \lambda^{n-1}\\ 0 & \lambda^n \end{pmatrix} \)$
\(A\)の指数関数\(e^A\)は
\((1,1)\)要素と\((2,2)\)要素は
である。
\((1,2)\)要素もまた
よって
\(n\)次正方行列\(X\)の指数関数\(e^X\)は以下のように定義される
例:
のような対角行列なら
となるので、
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2つの\(n\)次正方行列\(A,B\)について、両者が可換ならば
という定理を使う方法。
とおいて、
として、
とする。
問2#
\(A\) が交代行列ならば、\(\exp(A)\)は直交行列であることを示せ。
交代行列:\(A^T = -A\)
直交行列:\(A^T = A^{-1}\)
\(A\)が交代行列、すなわち\(A^T=-A\)であれば
問3#
次の文章の\(\boxed{ }\)を埋めよ。
\(A, B\) を \(n\) 次の正方行列とする。トレースについて、次の \(1 \sim 3\) が成り立つことを 示す。
\(\operatorname{tr}\left(A^{\mathrm{T}}\right)=\operatorname{tr} A\)
\(\operatorname{tr}(A B)=\operatorname{tr}(B A)\)
\(B\) が正則行列のとき、 \(\operatorname{tr}\left(B^{-1} A B\right)=\operatorname{tr} A\)
\(A^{\mathrm{T}}\) の \((i, i)\) 成分は \(A\) の \(\boxed{1}\) 成分に一致するから、トレースの定義より、 1 が成り立つ。
\(A, B\) の \((i, j)\) 成分をそれぞれ \(a_{i j}, b_{i j}\) とおくと、
よって、2が成り立つ。
\(B\) が正則行列ならば、 \(B\) の逆行列 \(B^{-1}\) が存在し、
よって、3が成り立つ。
\(\boxed{1}: (i,i)\)
\(\boxed{2}: a_{ij} b_{ji}\)
\(\boxed{3}: BA\)
\(\boxed{4}: (AB)B^{-1}\)
\(\boxed{5}: A\)