クロス積(ベクトル積)

クロス積(ベクトル積)#

ベクトル積#

2つの3次元ベクトルa,bR3について

a×b=(|a2a3b2b3|,|a1a3b1b3|,|a1a2b1b2|)=(a2b3a3b2, a3b1a1b3, a1b2a2b1)

クロス積(cross product)あるいはベクトル積(vector product)あるいは外積という。

ベクトル積と行列式との関係

a×b

これはe1=(1,0,0),e2=(0,1,0),e3=(0,0,1)を使って表現すると

2つのベクトル

a=a1e1+a2e2+a3e3b=b1e1+b2e2+b3e3

に対して、abのベクトル積は

a×b=|a2a3b2a3|e1|a1a3b1b3|e2+|a1a2b1b2|e3

これは次の行列式の第1行に関する余因子展開と考えられる

|e1e2e3a1a2a3b1b2b3|
(a×b,c)=(a,b×c)=|a1a2a3b1b2b3c1c2c3|

が成り立つ。

証明

行列式を第 3 行で展開すれば

|a2a3b2b3|c1|a1a3b1b3|c2+|a1a2b1b2|c3

これは内積 (a×b,c) の成分による定義に他ならない。

また同じ行列式を第 1 行で展開すれば

a1|b2b3c2c3|a2|b1b3c1c3|+a3|b1b2c1c2|

これは 内積 (a,b×c) の成分による定義に他ならない。

ベクトル積の性質

ベクトル積に関して、次の法則が成り立つ

  1. a×b=b×a

  2. (λa)×b=a×(λb)=λ(a×b)

  3. a×(b+c)=a×b+a×c

  4. a×a=0

外積の直交性

3次元ベクトル a,b の外積 a×b は、 ab の両方と直交する

a×b,a=0a×b,b=0
証明
a×b,a=(a2b3a3b2)a1+(a3b1a1b3)a2+(a1b2a2b1)a3=a1a2b3a1a3b2+a2a3b1a1a2b3+a1a3b2a2a3b1=(a1a2b3a1a2b3)+(a2a3b1a2a3b1)+(a1a3b2a1a3b2)=0
証明

a=(a1,a2,a3)T,b=(b1,b2,b3)T,c=(c1,c2,c3)Tとする。

|a1a2a3b1b2b3c1c2c3|

第1行で展開すれば,

|b2b3c2c3|a1|b1b3c1c3|a2+|b1b2c1c2|a3=b×c,a

第2行で展開すれば,

|a2a3c2c3|b1|a1a3c1c3|b2+|a1a2c1c2|b3=a×c,b

第3行で展開すれば,

|a2a3b2b3|c1|a1a3b1b3|c2+|a1a2b1b2|c3=a×b,c

ベクトル三重積#

ラグランジュの公式

ベクトル積について、結合法則((a×b)×c=a×(b×c))は成り立たない

(a×b)×c=a,cbb,caa×(b×c)=a,cba,bc

これを ラグランジュの公式 (Lagrange’s formula) という

(a×b)×c=a,cbb,caの証明

a×bの各要素を

(a×b)1=a2b3a3b2(a×b)2=a3b1a1b3(a×b)3=a1b2a2b1

とする。

(a×b)×cの第i要素を((a×b)×c)iと書くことにすると、

((a×b)×c)1=(a×b)2c3(a×b)3c2=a3b1c3a1b3c3a1b2c2+a2b1c2=(a2c2+a3c3)b1(b2c2+b3c3)a1=(a1c1+a2c2+a3c3)b1(b1c1+b2c2+b3c3)a1(a1b1c1a1b1c1)=a,cb1b,ca1

同様に

((a×b)×c)2=a,cb2b,ca2((a×b)×c)3=a,cb3b,ca3

よって

(a×b)×c=a,cbb,ca
a×(b×c)=a,cba,bcの証明

まず、b×c

b×c=(b2c3b3c2b3c1b1c3b1c2b2c1)

となる。

a×(b×c)の第i要素を(a×(b×c))iと書くことにすると、

(a×(b×c))1=a2(b×c)3a3(b×c)2=a2(b1c2b2c1)a3(b3c1b1c3)=a2b1c2a2b2c1a3b3c1+a3b1c3=(a2c2+a3c3)b1(a2b2+a3b3)c1=a,cb1a,bc1

同様に

(a×(b×c))2=a,cb2a,bc2(a×(b×c))3=a,cb3a,bc3

よって

(a×(b×c))3=a,cba,bc