分位点回帰#
分位点\(\tau\)における条件付分位関数を
と表す。ここで\(F_y^{-1}(\tau | X_i)\)は\(y\)において\(X_i\)に条件づけられた\(y_i\)の分布関数である(\(F_y^{-1}(\tau | X_i) = \inf \{ y: F_y(y|X_i) \geq \tau \}\))。
例えば\(\tau = 0.1\)のとき、\(Q_\tau(y_i | X_i)\)は\(y_i\)の下位10分位である。
標準的な回帰モデルは二乗誤差\((y_i - m(X_i))^2\)の和や期待値を最小化するようにモデル\(m(X_i)\)を学習して条件付き期待値\(E(y_i|X_i)\)を予測する
分位点回帰 (quantile regression)モデルはpinball loss\(\rho_{\tau}(y_i - q(X_i))\)の和や期待値を最小化するようにモデル\(q(X_i)\)を学習させ、条件付き分位関数\(Q_{\tau}(y_i|X_i) = F^{-1}_y(\tau|X_i)\)を予測する
pinball lossは \(\tau\)-tiled absolute value function や 検定関数(check function)とも呼ばれる(グラフを描くとチェックマークに似てるため)
あるいは
と書かれる
Show code cell source
import numpy as np
import matplotlib.pyplot as plt
def pinball_loss(x, tau):
return (tau - 1 * (x <= 0)) * x
x = np.linspace(-1, 1, 100)
fig, axes = plt.subplots(figsize=[10, 2], ncols=3)
for i, tau in enumerate([0.1, 0.5, 0.9]):
y = pinball_loss(x, tau=tau)
axes[i].plot(x, y)
if i == 0:
axes[i].set(title=f"τ={tau}", xlabel=r"$x$", ylabel=r"$y = (\tau - 1(x <= 0)) x$")
else:
axes[i].set(title=f"τ={tau}", xlabel=r"$x$")
fig.show()
なお、pinball lossは\(\tau=0.5\)のとき
と、絶対誤差と比例する形になる。
絶対誤差の和を目的関数にとった線形モデルは統計学においてleast absolute deviations (LAD) と呼ばれ、その解は条件付き中央値になる
Show code cell source
import numpy as np
import matplotlib.pyplot as plt
def pinball_loss(x, tau):
return (tau - 1 * (x <= 0)) * x
x = np.linspace(-3, 3, 100)
fig, ax = plt.subplots()
ax.plot(x, pinball_loss(x, tau=0.5), label=r"$\rho_{0.5}(x)$")
ax.plot(x, abs(x), label="|x|")
ax.legend()
fig.show()
絶対誤差の最適解
誤差関数\(\ell(y, \hat{y})\)を絶対誤差\(|y - \hat{y}|\)とする。予測損失(期待予測誤差)は
絶対値の中身の符号で場合分けすると
予測損失を微分するとそれぞれの項は
よって
となる。\(\frac{d R(\hat{y})}{d \hat{y}}=0\)とおいて整理すれば
となる点が予測損失を極小化することがわかる。これは\(\hat{y}\)が中央値となるときである。
\(f(y)\)は確率密度関数なので、\(\int_{-\infty}^{\infty} f(y) dy=1\)になる。\(-\infty\)から\(\hat{y}\)への積分と\(\hat{y}\)から\(\infty\)への積分が等しくなるのはその半分、すなわち
である。なお、これは累積分布関数\(\mathrm{P}(\hat{y})\)に等しい。よって\(\hat{y}\)は中央値である。
なお、中央値の定義には、以下の式を満たす\(m\)
というものもある。
定積分の定義
より、この導関数は
Pinball lossの最適解
Pinball Lossを少し表現を変えて
と表すと、さきほどの絶対誤差の場合分けした項に\(\tau, (1 - \tau)\)を掛けた形になる
絶対誤差の場合と同様に導関数は
となる。ここで累積分布関数\(F(\hat{y})\)と補累積分布関数をそれぞれ
とおき、導関数を0とおく。
これを整理すると
となり、累積分布\(F(\hat{y})\)で表される確率(分布のうち\(Y\)が\(-\infty\) から \(\hat{y}\)までの面積)が\(\tau\)になることがわかる。 逆関数をとると
となる。累積分布関数の逆関数は分位点なので、\(\hat{y}\)は確率\(\tau\)に対応する分位点である。
モデルの評価#
D2 pinball score#
\(D^2\)は\(R^2\)の一般化
ここで\(y_{\text{null}}\)は切片のみのモデルの最適解(例:二乗誤差なら\(y\)の平均値、絶対誤差なら\(y\)の中央値、pinball lossなら\(y\)の指定されたquantile)
この\(D^2\)に
を代入したものが\(D^2\) pinball score
interval score#
分位点回帰モデルの実践#
statsmodelsでは quantreg()
で実行できる
Quantile regression - statsmodels 0.15.0 (+213)
Show code cell source
import numpy as np
import pandas as pd
import statsmodels.api as sm
import statsmodels.formula.api as smf
import matplotlib.pyplot as plt
data = sm.datasets.engel.load_pandas().data
fig, ax = plt.subplots()
ax.scatter(data["income"], data["foodexp"])
ax.set(xlabel="income", ylabel="foodexp", title="Quantile Linear Regression")
x = np.linspace(data["income"].min(), data["income"].max(), 10)
model = smf.quantreg("foodexp ~ income", data)
for q in [0.1, 0.5, 0.9]:
res = model.fit(q=q)
y_hat = res.predict(pd.DataFrame({"income": x}))
ax.plot(x, y_hat, label=fr"$\tau = {q}$")
ax.legend()
fig.show()