学習方法#

近年よいとされる学習方法#

学習法

内容 / どう使うか

Spaced practice (分散学習 / 間隔をあけた復習)

学習 → 少しおいて再学習 → また時間をあけて復習…と、時間を分散させて何度も振り返る。短期集中(詰め込み/一夜漬け)は記憶が定着しづらい。

Retrieval practice (想起練習/アクティブリコール)

学んだ内容を「思い出す」練習。ノートを見直すよりも、自分の頭から“引き出す”ことで記憶定着が大きく高まる。

Interleaved practice (インターリービング/交互学習)

同じ種類の問題・トピックを連続でやるのではなく、異なるトピックや種類の問題を混ぜて学ぶ。これにより、各トピックの違いや応用性が定着しやすくなる。

Elaboration (精緻化/自己説明・関連付け)

新知識を、既存の知識や経験とつなげたり、「なぜ・どうして」を自分に問いかけて説明したりする。単なる丸暗記ではなく「意味づけ」を伴う学習。

Dual coding (二重符号化 — 言語+視覚など)

テキストだけでなく、図・絵・グラフなど視覚情報を併用する。視覚と文章の両方で“符号化 (coding)” することで、理解と記憶の補強に。

Concrete examples (具体例を使う)

抽象的な概念や理論を学ぶとき、具体的な事例や例題と結びつけることで理解が深まり、応用力も身につく。

自分が学びたい部分(わかってない部分)を洗い出してから勉強する#

未解決の疑問があると学習意欲と記憶定着を引き上げる。欲している状態にしてからインプットする。

情報ギャップ理論 (information-gap theory) [Loewenstein 1994]

人は、自分が知っていることと知らないことの“ギャップ”を認識したとき、そのギャップを埋めようとする強い動機づけが生まれる

という考え方

好奇心ベース学習 (curiosity-driven learning) [Gruber et al. 2014]

実験により

  • 被験者が「強い好奇心」を感じた問題を提示された瞬間、ドーパミン系(中脳-海馬回路)が活性化

  • その直後に提示された、本来は無関係の事象でさえ記憶が強化された

という結果が示された。

未解決の疑問 → ドーパミン → 海馬の可塑性向上 → 長期記憶が強化 という流れがあると考えられている

先に全体像を把握してから細部を見る#

❌️完璧に理解してからでないと次に進まない
⭕️理解しきれなくても先に進み、ざっと全体像を理解する

脳は「先に全体像を認識」→「細部を理解」の流れで理解していくので、それを利用する。

例:本を読むとき、さきに目次を読んで全体の話の流れを掴んでから中身を読む
例:資格試験である単元を学びたいとき、先に30秒かけて学ぶ範囲を全体像インプットしてから勉強に入る

「思い出す」ことが記憶を強固にする#

Retrieval practice (想起練習/アクティブリコール)#

Retrieval practice :学んだ内容を「思い出す」練習。

脳の神経回路が強化されて短期記憶が長期記憶に変わるのは、 思い出そうと頑張ったとき 。単に繰り返し見ても定着率は低い。

Spaced practice (分散学習 / 間隔をあけた復習)#

Spaced practice :学習 → 少しおいて再学習 → また時間をあけて復習…と、時間を分散させて何度も振り返る。

短期集中(詰め込み/一夜漬け)は記憶が定着しづらい。
覚えたいことを、時間をおいて思い出すことを繰り返すことで記憶が強固になる

generative learning(白紙復元)#

白紙の状態から説明するワーク

今日学んだことを白紙に書き出す。「記憶を取り出す」練習になり、思い出す連想のルートも最適化される。

“解けそうで解けない問題” が最も意欲を高める#

学習科学では「中程度の難易度(desirable difficulty)」が 学習意欲と記憶定着を最大化するとされる。

「あと少しで理解できそう」
「ヒントがあれば届きそう」
「ギャップは小さいが、埋まっていない」

といった状態が最も認知的興奮と努力の増大を生む。

よくないとされる勉強法#

❌️教科書にハイライト/下線を引くだけ
❌️ノートに丸写し
❌️何度も同じ本文を読む/再読 (re-reading)

いずれもインプットだけで、アウトプット(記憶の想起)がない

参考#