マネジメント系の本のメモ

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マネジメント系の本のメモ#

『リーダー1年目のマネジメント大全』#

木部智之. (2024). リーダー1年目のマネジメント大全.

リーダーの役割#

リーダーのミッションは大別して2つ

  1. ビジネス成果の最大化:チームを束ねて大きな成果を出す

  2. 人材育成:スキルアップとキャリアアップを実現する

マネジメントする対象#

ターゲットは内向きのものでは4つ

  1. メンバー:仕事の割り振り、育成、キャリア支援、メンタルケア

  2. チーム:仕事のアサイン、チームビルディング

  3. ビジネス:戦略立案、実行、進捗管理など

  4. 自分自身:自身の成長とキャリアアップ

あとは上司と外(お客様、パートナー、他部署)

リーダーシップとマネジメントのバランスをとる#

  • リーダーシップ:人と組織を動かすためのスキル

    • 組織のビジョンを示す、メンバーのモチベを高める、組織を立ち上げる、変革を推進する

    • 方位磁針のように、向かう先を指し示すもの

  • マネジメント:人と組織を運営するスキル

    • 計画・予算の立案、組織設計、人員配置、進捗管理、問題解決

    • 時計のように日々きっちり動くもの

この両方を使い分けていく必要がある:

  • 例:チームやプロジェクトの立ち上げ期はリーダーシップの比率が多め

    • ビジョンを示してメンバーのモチベーションを高めるようにする(リーダーシップ)

    • プロジェクトの実行計画の立案、メンバーの役割ぎめ(マネジメント)

  • 例:プロジェクトが軌道に乗った頃はマネジメントが多め

    • 予実管理や問題解決など

  • 例:プロジェクトで進捗の遅れやトラブルが起きるとリーダーシップ多め

    • ビジョンの再周知、モチベーション回復

リーダーシップのスタイル#

いろいろな人が提唱しているスタイルを取り入れていく。

時期によって変えてもいい

ダニエル・ゴールマンのリーダーシップ6つのスタイル

リーダーシップ・スタイル

共鳴の起こし方

適用すべき状況

ビジョン型

共通の夢に向かって人々を動かす

変革のための新ビジョンが必要なとき、または明確な方向性が必要なとき

コーチ型

個々人の希望を組織の目標に結びつける

従業員の長期的才能を伸ばし、パフォーマンスの向上を援助するとき

関係重視型

人々を互いに結び付けてハーモニーを作る

亀裂を修復するとき、ストレスのかかる状況下でモチベーションを高めるとき、結束を強めるとき

民主型

提案を歓迎し、参加を通じてコミットメントを得る

質問やコンセンサスを形成するとき、または従業員から貴重な提案を得たいとき

ペースセッター型

難度が高く、やりがいのある目標の達成をめざす

モチベーションも能力も高いチームから高レベルの結果を引き出したいとき

強制型

緊急時に明確な方針を示すことで恐怖を鎮める

危機的状況下、または再建始動時、または問題のある従業員に対して

出典:「EQ リーダーシップ」(ダニエル・ゴールマン/リチャード・ボヤツィス/アニー・マッキー 著、土屋京子 翻訳、日本経済新聞出版)

優れたリーダーのスタンス#

  • 偉そうにしない:自己中心的にしない、指図ではなく依頼をする、批判的や威圧的にしない、意見を聞く

    • 偉そうにすると意見を言いづらく、報告しづらいなど生産性が落ちる

    • リーダーは単なる役割と考える

  • 相手をよく観察して臨機応変に対応する

    • メンバーの性格、キャリア志向、その日のコンディションや状況を見る

メンバー・マネジメント#

メンバーのタイプを把握する#

タイプを大まかに把握してタイプに合わせたコミュニケーションをとる

  1. スキル 高/低

  2. ポテンシャル 高/低

  3. 向上心 高/低

  4. 明るさ 明るい/暗い

  5. 積極性 ポジティブ/ネガティブ

  6. 社交性 高/低

  7. 協調性 高/低

  8. (+専門性など)

傾聴する#

  • メンバーからの相談は聞き切ることに全集中する。口を挟まない

  • 喋り切ることでストレス発散になるし、8割がた本人が解決の糸口を見つけている

傾聴のポイント
  1. 相手の話に積極的に興味を持ち、真剣に受けとめる

  2. 相手の主張や感情に寄り添い、共感する

  3. 表情などの非言語的なサインを見逃さない

  4. 話を要約することで、自分が理解していることを伝える

  5. 自分の意見や先入観を排除して、客観的に受けとめる

  6. 会話中に沈黙が生じても焦らずに待つ

  7. 質問で深く掘り下げて、より深く理解する

メンバーのプライベートや家庭事情を考慮する#

  • 忙しくてもメンバーのプライベートを尊重できる余裕をもつ

  • 休みを取りやすい雰囲気をつくる

仕事へのアサインは少しストレッチさせる#

“Growth and comfort do not coexist. If everything is feeling comfortable, you probably need to sit down and do some goal setting.”

― Ginni Rometty (ex-CEO of IBM)

メンバーの能力や経験より少し高い難度の仕事にアサインすることで、新しい知識を学んだり、どうやったらうまくいくか自ら考えることになり、問題解決力が向上する

ストレッチ・アサインの注意点は

  1. 難しすぎる仕事は逆効果になる

    • 成功しない、本人のモチベも下がりやすい

  2. アドバイスをしすぎない

    • 言われた通りにやるだけになり成長につながらないしモチベも下がりやすい

仕事の任せ方は相手に合わせる#

メンバーのスキルや経験によって次の3パターンで分ける

  1. 1から10まで事細かく指示をする

  2. 考え方や取り組み方針を伝えて、やり方は任せる

  3. ゴールや命題を与えて、後はすべて任せる

優秀なメンバーに事細かく指示を出すのは成長機会を奪うことになるので少しチャレンジさせる

仕事を任せるときは「Why」から#

ゴールデン・サークル理論:Why(なぜ)→How(どうやって)→What(何を)の順番で伝えることで共感を得やすくなる、という理論

Whatのみを伝える例

「来週の水曜日までに、商品Aの市場評価と売上ランキングを調べておいてくれないかな。よろしく頼むね」

Why → Whatの例

来週の金曜日に、クライアントにうちの会社の商品をプレゼンをする予定なんだけど、今年一番の大きな契約につながるかもしれない重要な提案なんだ。クライアントにとっても絶対に役に立つ商品だと思うから、ここでしっかり商品のよさを伝えておきたい。 商品Aをアピールするために、市場での評価やランキングなど、お客様に訴求するデータを集めておいてくれないかな。よろしく頼むね

任せた仕事ではメンバー自身が決断する機会を必ず入れるようにする#

例えば資料作成で「どんなレイアウトにすればいいですか?」と訊かれたら、「まずは自分で考えてみてください」と自分で決めさせる(誰向けなのか、何を伝えるのかなどは共有してるor質問していい前提)。こうすることでメンバー自身がプレゼンの内容や聴衆を考えて、成長につながる経験になる。

「どうすればいいですか?」→「逆にあなたはどうすればいいと思う?」

メンバーが自分で考える機会を持つことで自律的に動けるように成長していき、長期的にはリーダーがより本質的な仕事に集中できるようになる

仕事を任せたら「チェックポイント」を刻む#

  • 大事故を未然に防ぐために途中で小刻みに確認する(チェックポイント)

  • チェックポイントのミーティング設定はメンバー自身にやらせて主体性をもたせる

※「任せる」と「放置する」の違いは、託した仕事の結果の責任をリーダーが取るかどうか。責任もメンバーに押し付けてたら「放置」

ティーチングで育て、コーチングで更に伸ばす#

ティーチング(teaching)

リーダーがメンバーに答えを教えるような指導方法。

知識や具体的な方法を教えるのがティーチング。

  • Pros:

    • 年次の若いメンバーのスキルの土台作りに効率がいい

  • Cons:

    • メンバーの主体性がなくなる(受け身になる)

    • モチベーションも下がりやすい

コーチング(coaching)

リーダーは直接的な答えを与えず、ヒントを与えてメンバー自身に答えを見つけさせる

もともとの経験やスキルが低いメンバーには適さない

説明の機会をたくさん与える#

  • クライアントとのミーティングでは積極的にメンバーに説明機会を与える

    • メンバーが説明に困ってそうならフォローする

  • 前提:説明機会 = 成長機会という考え。準備のために勉強したり、発表の場数を踏める。

  • 発表後に「この点がよかった」「ここはこうするともっと良くなる」とフィードバックすることで更に成長を促せる

小さな成功体験を積ませる#

成功体験は自己肯定感を生み、成長を実感させ、次の仕事へのモチベーションを高める。

キャリアの早い段階で成功体験を積ませるのがよい。

成功体験を積ませるための方法
  1. 成果が出やすい仕事にアサインする

    • ストレッチ・アサインとは逆の話だが、まずは成果を出しやすい仕事を与えてあげる

  2. 普通にうまくいったことでも「よくできた、成功だ」と伝えてあげる

    • 伝えてあげないと「ただ仕事を終えただけ」であり成功体験と自覚しない

✅️成功の判定はリーダーが主観で決められる

「目標のレベルに到達できたら成功」とするのか、「完遂した事自体が成功」とするのかはリーダー次第。

メンバーの成長のためになるような判定をしていく

失敗しそうなとき、あえて失敗させる方法もある#

失敗から学ぶことは多い。

失敗しそうなとき、かつ失敗しても問題ない(後処理できる)仕事の時、あえて失敗させるのも一つの手段。

失敗したあとは「なぜ失敗したのか」「何が良くなかったのか」をメンバーと一緒に振り返る。

「自分がやったほうが早い」は必死に我慢する#

リーダーはたいていメンバーとして成果を上げた人が抜擢されるため、多くの仕事について「自分がやったほうが早いな…」と感じる

しかし短期的な成果を優先してリーダーが仕事をするとメンバーが育たず、長期的には成果が出にくい。

頑張って我慢する。

メンバーの評価#

一般的には成果を評価するものだが、結果が出ない頑張りや目に見えない努力も評価する

  • 若いメンバーは成長のためにも頑張りが大事

  • 楽をして成果を出したように見えるメンバーも、仕組み化を考えて頑張ってるはずなので評価

  • しかし、アピール上手で単にサボってるだけの人を高く評価しないように注意。そういう人を評価すると他のメンバーからも「見る目がない人」と思われる

メンバーの活躍は自身の上長を経由して会社にアピールしてメンバーのキャリアを作る

メンバーのメンタルケア#

メンバーのメンタルダウンはメンバー本人のキャリアや人生のためにも非常に重要な問題

兆候が現れたら早めにストレス源から離れさせる

メンタルダウンの兆候
  • 仕事でミスが多くなり、パフォーマンスが落ちる

  • 会話の反応がいつもより鈍くなる

  • 伏し目がちになる

  • 「頭が真っ白になって考えられない」という発言をする

  • 仕事の優先順位がつけられなくなる

  • 遅刻や欠勤が増える

  • 「最近、眠れない」という発言をする

対処は

  • 1on1

  • 仕事を減らす

  • 休ませる

  • 役割を変える

  • 産業医面談

メンバーのモチベーション管理#

内発的/外発的動機づけを活用する#

  • 内発的動機づけ(intrinsic motivation)

    • 定義:報酬や外的圧力によらず、「自分がやりたいからやる」「興味があるからやる」といった、個人の内面から湧き上がる動機に基づいた行動

    • 例:新しい仕事を与える、新しい役割を与える

  • 外発的動機づけ(extrinsic motivation)

    • 定義:賞罰・評価・お金・称賛・他者の期待など、外部からの報酬や圧力によって引き起こされる動機。

    • 例:昇給する

褒め方のポイント#

  1. ❌️何でもかんでも褒めない

    • 普段から褒めてると効果がなくなる。「適当に褒める人」と思われる

  2. ❌️他人と比較して褒めない

    • 「Aさんよりも成果出してるね」は❌️。比較したAさんにも伝わる可能性があるしリーダーへの不信感を生むだけ。

  3. ⭕️メンバーの努力・頑張りを褒める

    • たとえ結果が良くなかったとしてもメンバーが努力していればその点を褒める

チーム・マネジメント#

組織は2-6-2で考える#

  • 働きアリの法則 :アリでも人間でも、組織において、よく働く人が2割、普通に働く人が6割、あまり働かない人が2割という割合で構成される傾向があるという法則

  • ハイパフォーマーの2割のメンバーを重要なタスクにアサインする。パレートの法則(上位2割が仕事の8割をこなす傾向)のイメージ。

  • ミドルパフォーマーの6割が組織の成果を左右する。

    • ハイパフォーマーの2割は優秀なので勝手に成長して勝手に成果を出すところがある。なので ミドルパフォーマーの6割が最大のパフォーマンスを発揮できるように育成やケア、フォローをする

  • ローパフォーマーの2割は「そういうものだ」と割り切る。向上心もないしミスも多い層だが、割り切って受け入れることも重要

「雑談」でチームのパフォーマンスを上げる#

仕事と直接関係がない雑談でチームの生産性を上げることもある

雑談の3つの効果
  1. 人間関係の構築

    • 業務時間外のメンバーの姿を知ることで、心理的距離が縮まる。それにより、心理的安全性が高まったり、ちょっとした依頼がしやすくなったり、メンバーが困っているときに自ら進んで助けるようになったりする

  2. ストレス軽減

    • 趣味や週末の出来事を話すことでリラックス効果が生まれる

    • プライベートや仕事の悩みを話すことでストレス解消にも

  3. 新しいアイデアの創出

    • リラックスした状態により創造性が刺激されることがある

    • 雑談から仕事の話に話題が移って新しいアイデアが生まれることも

ただし、注意点として

  • 長時間話し込まない:30分や1時間といった長時間仕事の手を止めて雑談しているようでは仕事も進まないし規律も乱れる

  • 声量は抑える:大声で話すと他の仕事しているメンバーの集中の妨げとなる

チームのビジョンを語り、助け合うチームを作る#

成果を出すチームには、メンバーがお互いに助け合う文化がある

そのための方法として

  1. チームの目標を全員で共有する

    • 「3人のレンガ職人」の話の3人目のように、チームの仕事の先には社会的意義があるということをリンクさせるようコミュニケーションをとる

  2. 他のメンバーをフォローすることを奨励する

    • 目標が共有されているチームだと自然に助け合いが生まれる。なぜなら一人だけ仕事をしてもチーム全員で成し遂げる目標には届かないことがわかっているから。

    • リーダーは他のメンバーをフォローしてくれたことに感謝して、チーム全体にそのことを伝える

3人のレンガ職人

ある旅人が旅の途中で、3人のレンガ職人に出会いました。それぞれが同じようにレンガを積んでいます。旅人は彼らに「何をしているのですか?」と尋ねました。

1人目のレンガ職人は言いました:

「見ればわかるだろう。レンガを積んでいるんだよ。つまらないし、疲れる仕事さ。」

2人目のレンガ職人は言いました:

「家族を養うために働いているんです。この仕事でお金を稼がないと、食べていけませんから。」

3人目のレンガ職人は誇らしげに言いました:

「大聖堂を建てているんです!私はこの街の未来のために、美しい建物を作っているんですよ。」

メンバーとの距離は近すぎず、遠すぎず#

  • 近すぎると、仲良くなれるメンバーもいれば反りが合わないメンバーもいて不公平感・贔屓してる感がでてくる

  • 遠すぎると心理的安全性が下がってパフォーマンスが落ちる

  • 適度な緊張感が必要。

    • 部長など役職があがると自然と距離が遠くなり畏れられるため、あえて距離を近づけるよう努力する

メンバーからの報告は健全に「疑う」#

メンバーからの報告は正しいとは限らない

  • 悪いことも包み隠さず報告されるとは限らない

  • 意図的でなかったとしても、解釈が誤っていたり、人づての情報で真意が伝わらなかったりする

そのため、報告は額面通りに受け取らないようにする。

「順調なようですが、発生している課題や懸念事項、対策すべきことはないですか?」などネガティブな情報も吸い上げるようにする

指示は具体的に出す#

  • 「ナルハヤでお願いします」→具体的に時期を決める

  • 「必要な準備をしておいてください」→具体的に

仕事の期限設定はタイトにする#

依頼した仕事は期限ギリギリで仕上がる

その理由は

  1. 学生症候群:人は期日が近づいてから着手するもの。夏休みの宿題と同じ

  2. パーキンソンの法則:早めに作業が完了できてもクオリティを上げるために時間を使い切ってしまう

ビジネス・マネジメント#

ビジネス目標を達成するためのマネジメント

サイクル・マネジメント#

組織の運営サイクルを理解したうえで、先手思考で仕事を設計する

メンタル・マネジメント#

自分のメンタルを守るすべ

セルフ・マネジメント#

自分を研鑽しキャリアアップする

モデルケース#