価格指数#
一般的な価格指数の手法#
ラスパイレス指数#
基準年の数量を重みとして算出する。
日本の消費者物価指数で用いられている方式。
\(p_i^0\):基準年(0年)の価格
\(p_i^1\):比較年(1年)の価格
\(q_i^0\):基準年の数量(固定)
特徴:
現実の変化よりやや大きめに出やすい(消費行動が変わらないと仮定)
パーシェ指数#
比較年の数量を使って、実際の消費行動の変化も反映する。
\(q_i^1\):比較年の数量
特徴:
現実に近いが、データ収集がやや難しい(当年の数量が必要)
住宅価格指数#
ヘドニック法#
概要
住宅の特徴を説明変数に入れた線形回帰モデルを組み、切片で時点のダミー(固定効果)を入れて経時的な価格変化を捉える。
日本の国交省の価格指数ではヘドニック法をベースとしている。
\(P_{i t} \in \mathbb{R}\):時点\(t\)、地点\(i\)の床面積当たりの価格
\(\alpha \in \mathbb{R}\):切片項
\(\boldsymbol{\delta}_t \in \mathbb{R}^T\):時間固定効果 → 価格指数に使う
\(\boldsymbol{D}_t \in \{0, 1\}^T\):時点ダミーベクトル
\(\boldsymbol{x}_{i t} \in \mathbb{R}^{m}\):物件の属性情報(共変量・統制変数)
\(\boldsymbol{\beta}_t \in \mathbb{R}^{m}\):属性情報の回帰係数(局外母数)
\(\varepsilon_{i t} \in \mathbb{R}\):誤差項
で求めたあとに基準年を100とするよう指数化する
特徴
長所:多くのサンプルを利用可能
短所:仮定がやや多い
説明変数で住宅の特徴が捉えられている
価格と説明変数の間の関係は線形である
リピートセールモデル(Repeat Sales Model)#
概要
Baily et al.(1963)やCase and Shiller(1989)によって開発されてきた手法。S&Pケースシラー住宅価格指数で使われている。
同じ物件が異なる時点で取引されたときの価格変化を平均する。
特徴
長所:同一物件の価格変化を見るため、物件ごとの個体差を完全に統制できる
短所:分析に使用可能なサンプルが限られる
ある物件が時点 \(f\)に1回目の売買がされ、時点\(s\) に2回目の売買がされ、その価格がそれぞれ \(P_{if}\) および \(P_{is}\) だったとする。 また
(仮定1) 物件のすべての属性が時期を通して不変だった(リフォーム等はしていない, \(\boldsymbol{x}_{i f} = \boldsymbol{x}_{i s}\))
(仮定2) 属性のパラメーターは時期を通して不変だった(\(\boldsymbol{\beta}_f = \boldsymbol{\beta}_s\))
と仮定する。このとき、ヘドニック法の価格関数の2時点間の差分は
ここで
つまり1回目の取引時点のダミーを\(-1\)、2回目の取引を\(+1\)として取引ペアを表現すれば線形回帰モデルで求めることができる。
\(P_{if}, P_{is}\):それぞれの時点での売買価格
\(\boldsymbol{\delta} \in \mathbb{R}^T\):各期間の住宅価格の対数変化率
\(\Delta \varepsilon_i := \varepsilon_{i f} - \varepsilon_{i s}\):撹乱項の変化