モチベーション管理#

内発的/外発的動機づけを活用する#

  • 内発的動機づけ(intrinsic motivation)

    • 定義:報酬や外的圧力によらず、「自分がやりたいからやる」「興味があるからやる」といった、個人の内面から湧き上がる動機に基づいた行動

    • 例:新しい仕事を与える、新しい役割を与える

  • 外発的動機づけ(extrinsic motivation)

    • 定義:賞罰・評価・お金・称賛・他者の期待など、外部からの報酬や圧力によって引き起こされる動機。

    • 例:昇給する

褒め方のポイント#

  1. ❌️何でもかんでも褒めない

    • 普段から褒めてると効果がなくなる。「適当に褒める人」と思われる

  2. ❌️他人と比較して褒めない

    • 「Aさんよりも成果出してるね」は❌️。比較したAさんにも伝わる可能性があるしリーダーへの不信感を生むだけ。

  3. ⭕️メンバーの努力・頑張りを褒める

    • たとえ結果が良くなかったとしてもメンバーが努力していればその点を褒める

現状把握#

「モチベーションが低い」と決めつけない

見えているのは、たとえば以下のような行動:

  • 発言が少ない

  • 仕事が遅い

  • 提案しない

  • 指示待ちが多い

  • 品質が落ちた

  • 締切を守れない

  • 雑談やチーム活動に消極的

これらは必ずしも「やる気がない」とは限らない。原因としては

  • 仕事内容に納得していない

  • 成長実感がない

  • 期待値が曖昧

  • 能力不足で苦しい

  • 評価されていないと感じている

  • 人間関係に問題がある

  • 体調・メンタル面で余裕がない

  • 家庭事情など仕事外の負荷がある

  • そもそも本人の志向と役割が合っていない

などがあり得る

1on1で原因を探る#

いきなり指導モードに入るより、まずは対話する。
聞き方としては、詰問ではなく、観察事実ベースに。

例:

最近、以前より少し元気がないように見えていて、仕事の進め方も少し苦しそうに感じています。
何か困っていることや、やりづらさはありますか?

今の仕事について、やりがいを感じている部分と、しんどい部分をそれぞれ教えてもらえますか?

観点

確認すること

目標

何を期待されているか理解しているか

能力

やり方が分からず詰まっていないか

意義

その仕事の意味を理解しているか

裁量

自分で工夫できる余地があるか

評価

頑張りが認識されていると感じているか

関係

チーム内で孤立していないか

負荷

仕事量・難易度が適切か

志向

本人のやりたい方向と役割が合っているか

原因別の対応#

状態

対応

やる気はあるが、やり方が分からない

支援・教育

やれるが、意味を感じていない

目的共有・裁量付与

やりたいが、負荷が高すぎる

タスク調整

能力はあるが、評価されていないと感じる

承認・評価基準の明確化

本人の志向と役割が合わない

役割再設計

改善意思が乏しい

期待値明確化・正式なフィードバック

期待が曖昧な場合

本人が「何をすればよいか」「どの水準ならOKか」を分かっていないケース

対応:

  • 期待する成果を明文化する

  • 優先順位を決める

  • 完了条件を具体化する

  • 短いサイクルで確認する

例:

今週はまずAを完了させることを最優先にしましょう。
完了の基準は、Bの状態になっていて、Cさんにレビュー依頼できるところまでです。

能力不足・不安が原因の場合

本人がやる気がないのではなく、分からないことが多すぎて動けない状態

対応:

  • タスクを小さく分解する

  • 最初の一歩を一緒に決める

  • 手本を見せる

  • レビュー頻度を上げる

  • ペア作業やメンターをつける

このタイプに「主体的にやって」と言うと、さらに萎縮してしまう

意義を感じていない場合

仕事の意味が見えていないと、作業感が強くなります。

対応:

  • その仕事が誰の役に立つか伝える

  • チーム目標とのつながりを説明する

  • 成果が使われる場面を見せる

  • 顧客・ユーザー・社内利用者の反応を共有する

例:

この改善は地味に見えるけど、営業チームが毎日使う画面なので、ここが安定すると問い合わせ対応がかなり減ります。

成長実感がない場合

同じような仕事ばかりで停滞感があるケースです。

対応:

  • 少し難しいタスクを渡す

  • 新しい技術・役割に挑戦させる

  • 学習テーマを一緒に決める

  • 成長した点を具体的にフィードバックする

例:

前回は実装中心でしたが、今回は設計レビューまで担当してみませんか。難しければ途中で一緒に見ます。

評価されていないと感じている場合

頑張っても見られていない、報われていないと感じると、モチベーションは落ちる。

対応:

  • 良かった点を具体的に伝える

  • 成果だけでなく工夫も認める

  • 評価基準を説明する

  • 次に何ができると評価が上がるか伝える

単なる「ありがとう」より、「今回の資料は、論点が整理されていて、意思決定しやすかったです。特にA案とB案の比較がよかったです。」のように、何が良かったかまで伝える方が効果があある

人間関係・心理的安全性が原因の場合

会議で否定される、相談しづらい、孤立しているなどが原因の場合。 この場合、本人だけを変えようとしても改善しません。チーム環境側の問題も見る。

対応:

  • チーム内の発言機会を調整する

  • 否定的なコミュニケーションを減らす

  • 相談先を明確にする

  • 1on1で本音を聞く

  • 必要なら配置や役割を見直す

本人の志向と役割が合っていない場合

たとえば、技術を深めたい人に調整業務ばかり任せている、逆に人と話す仕事が得意な人に孤独な作業ばかり任せている、というケース。

対応:

  • 本人の得意・不得意を把握する

  • 中長期でやりたい方向を聞く

  • 現在の役割との接点を探す

  • 可能ならタスク配分を調整する

ただし、全てを本人の希望通りにする必要はない。

大事なのは、

  • 組織として必要なこと

  • 本人がやりたいこと

  • 本人が得意なこと

の重なりを探すこと。

改善を期待する場合は、行動ベースで合意する#

「もっと主体的に」「やる気を出して」は曖昧。

代わりに、観察可能な 行動で合意する

悪い例:

もっと積極的に動いてください。

良い例:

毎週月曜に今週やることを3つ整理して共有してください。

詰まったら半日以内に相談してください。

会議では最低1つ、懸念点か提案を出してください。