概要#

暗号資産(cryptocurrency)はブロックチェーンなどの分散型台帳技術(DLT)を基盤とし、暗号技術を用いて発行・管理・取引が行われるデジタル資産。 国家や中央銀行が発行する法定通貨とは異なり、中央管理者が存在しない点が特徴。

  • 暗号技術:公開鍵暗号・ハッシュ関数・デジタル署名などを用いて安全性を確保。

  • ブロックチェーン:取引履歴をブロックにまとめ、連鎖的に保存する分散型データベース

ブロックチェーン#

ブロックチェーン(Blockchain) は取引データを「ブロック」にまとめ、時系列に鎖のように連結(chain)して管理する分散型台帳。

中央管理者(銀行など)がいなくても、ネットワーク全体で取引の正当性を**合意(コンセンサス)**により保証する。

[ブロック1] → [ブロック2] → [ブロック3] → ...

改ざん防止の仕組み#

ブロックチェーンの改ざん防止は、暗号学的ハッシュ関数で実現されている。

  • 各ブロックは前のブロックの取引内容のハッシュ値を含む

  • どこかのブロックを改ざんすると、以降すべてのブロックのハッシュが不整合になる

コンセンサスアルゴリズム#

中央サーバーがなく分散管理するため、「どのブロックが正しいか」をネットワーク全体で決める必要がある。

いくつか方式がある

方式

特徴

PoW (Proof of Work)

膨大な計算競争。最初に正しいハッシュを見つけたノードがブロックを生成

Bitcoin

PoS (Proof of Stake)

通貨保有量(stake)が多いノードほど選ばれやすい

Ethereum

BFT系(Practical Byzantine Fault Toleranceなど)

限られたノード間で署名合意。高速・省エネ

Hyperledger Fabricなど

ビザンチン将軍問題とPoW#

ビザンチン将軍問題(Byzantine Generals Problem)

複数の将軍(ノード)が協調して敵を攻撃または撤退する必要があるとき、通信経路が不完全であり、一部の将軍が 裏切り者(faulty node, malicious actor) である可能性がある場合、 全員が同じ決定に合意できるか? という問題。

要求される条件:

  • 一致性(Consistency):正直な将軍たちは最終的に同じ決定に到達すること。

  • 妥当性(Validity):すべての正直な将軍が同じ提案を受け取っていれば、その提案を選ぶこと。

  • 耐故障性(Fault tolerance):悪意あるノードが一部いても、全体の合意が壊れないこと。

Bitcoin(Satoshi Nakamoto, 2008)は、Proof of Work (PoW) によってビザンチン将軍問題を実用的に解決した。

公開・改ざん困難な台帳(Blockchain)

すべての取引は公開され、各ノードは同じブロックチェーンを参照する。
ブロックヘッダには前のブロックのハッシュ \(H_{n-1}\) が含まれるため、過去の改ざんは連鎖的に検出可能。

\[ H_n=\text { SHA256 }(\text { SHA256 } (\text {block_header}_n)) \]

主要なコイン#

通貨名

特徴

Bitcoin (BTC)

世界初の暗号資産(2009年登場)。価値保存手段として利用。

Ethereum (ETH)

スマートコントラクト機能を持つプラットフォーム型通貨。DeFiやNFTに広く利用。

Ripple (XRP)

銀行間送金の高速化を目指すプロジェクト。

Litecoin (LTC)

Bitcoinの改良版。取引処理が高速。

Stablecoin (USDT, USDCなど)

法定通貨と価値を連動させた通貨。価格の安定性を重視。